ガンダムシリーズには、アムロ・レイ役を演じた古谷徹さん、シャア・アズナブル役の池田秀一さんを始め、声の演技が印象的だった名声優が数多くかかわっている。シリーズの作品数は豊富だが、声を聞いただけで“あのキャラクター”とすぐに思い浮かぶような存在も少なくない。
だが、そんなガンダム作品の中には、一人で複数のキャラを演じた声優もいる。そこで今回は、個人的に「えっ? この声優はこっちのキャラもやってたの?」と驚かされたケースを紹介していきたい。
■同一作品での一人二役! フレイ・アルスター&ナタル・バジルール
まず最初に紹介するのは、桑島法子さんが『機動戦士ガンダムSEED』で演じたフレイ・アルスターとナタル・バジルールだ。ナタル・バジルールはアークエンジェルの副長などを務めた女性士官で、軍務に忠実で冷静な人物。一方、フレイ・アルスターは、大西洋連邦の外務次官ジョージ・アルスターの一人娘で、いわゆる“世間知らずのお嬢様”と言ったキャラクターである。
作中ではまったく気にしていなかったが、エンディングのキャスト名のところでナタルとフレイがまとめられていることに気づき、一人二役ということに衝撃を受けた。
あんなに勇ましく「ヴァリアント、撃てー!」とやっていたキャラと、「キラは戦って戦って戦って死ぬのでなきゃ許さない」と恐ろしい悪女っぷりを見せていたキャラを、同じ声優が演じていたとは思いもよらなかった。
序盤はほとんど話すことのなかった二人だが、終盤でナタルが艦長を務めるドミニオンにフレイが救助されてからは二人が会話するシーンも増える。だが見事な演技力によってまったく違和感を覚えなかった。
このほかにも桑島法子さんは『ガンダムSEED』でキラの実母であるヴィア・ヒビキ役、続編の『SEED DESTINY』でもステラ・ルーシェ役と、レイ・ザ・バレルの幼少期の声なども演じている。
とくにステラ役の桑島さんは素晴らしい演技で、シンとの出会いからデストロイガンダムでの戦闘シーンに至るまで『DESTINY』の中でも屈指の名場面を演出した。
まったくタイプの異なる5名を見事に演じきったのは素晴らしいが、なぜか全員死亡という悲しい最期を迎えている。もし新しいガンダム作品で桑島さんが演じる際には、ぜひ幸せになる役を担当して欲しいものだ。