『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『うちの師匠はしっぽがない』続々始まる2022年秋アニメ、大豊作の10月1週目にスタートした「期待の新作」は?の画像
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(C)創通・サンライズ・MBS
全ての写真を見る

 大人気作の続編やリメイク、さらに気になる新作も多く「豊作」と期待が寄せられていた2022年の秋アニメが続々とスタートした。何を見ようか、何から見始めようか、視聴リストを整理するだけでも苦労しそうな話題作ばかりだが、まずは9月30日から10月第1週前半にスタートしたアニメについて注目作品を紹介したい。

■本格的な落語シーンが見応えあり『うちの師匠はしっぽがない』

 まずはどのアニメよりも早く9月30日金曜日にスタートした『うちの師匠はしっぽがない』。原作は『good!アフタヌーン」(講談社)で連載中のTNSK氏による落語漫画で、しっかりと上方落語が楽しめる作品になっている。

 舞台は文明の進化が進む大正時代。狐や狸の存在がどんどん遠のく中、都会に人間を化かすためにやってきた狸の「まめだ」が、落語家を名乗る美女に出会って落語家を目指すというストーリー。冒頭はまめだがなぜ都会に出てくることになったのか、なぜ落語に触れることになったのか、物語の根幹となる部分が丁寧に描かれる。

 これまでも落語がテーマのアニメはいくつかあったが、今作の落語シーンはかなり本格的。第一話では上方落語四天王の一人である女性落語家・大黒亭文狐が上方落語「遊山船」を披露する場面があるが、彼女を演じる声優・山村響の芝居が素晴らしかった。そしてアニメの最後には作中に登場した噺についての詳細を教えてくれるミニコーナーもあるので、この作品から上方落語に興味を持つ人も増えていきそうだ。

■夕方から深夜まで良作がそろった土曜のアニメ

 続いて10月1日の土曜日にスタートしたアニメも見逃せない作品ばかりだった。“全面戦争編”が描かれる『僕のヒーローアカデミア』の第6期、『SPY×FAMILY』の第2クール、『ポプテピピック』の第2期『ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ』などなど、夕方から深夜にかけて超人気の続編が出そろった土曜日。アニメ三昧の1日になるのは間違いないだろう。

 その中で筆者が注目したのは、人気となっている“悪役令嬢”ライトノベルを原作としたアニメ『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』。

 悪役令嬢といえば「はめふら」こと『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』の記憶が強いが、第1話を見た印象ではそれに並び立つのではないかと思わせる会心のスタートだった。

 まず転生した瞬間が、攻略対象キャラから公衆の面前でこっぴどく振られるシーン。そこから破滅フラグをなくすためにラスボスの元に求婚に赴くのだが、このラスボスにあたるクロードと主人公のアイリーンのやり取りがとにかくかわいいのだ。

 少女漫画、もしくは乙女ゲーが好きな人には確実に刺さること間違いなし。人から疎まれて育ったクロードが自分の目的のためとはいえ、アイリーンからグイグイ来られて不覚にもときめくシーンはキュンとさせられてしまう。逆境にめげずに行動するアイリーンの姿も含め、見ていて気持ちのいい作品になっている。

 同じく10月1日スタートでは、白川紺子氏によるライト文芸が待望のアニメ化を果たした『後宮の烏』も全体のクオリティが非常に高い第1話だった。香魚子氏によるイラストの雰囲気も相まって、怪しげで神秘的な空気感の流れる本作。

「後宮」という閉じられた空間の中で、さらにミステリアスな存在の烏妃(うひ)。心に絶対に叶えたい野望を持つ皇帝高(こうしゅん)が彼女のもとを訪れるところから物語はスタートする。

 回想シーンが切り絵のようだったり、色や音楽の使い方がなんとも癖になる良作だ。さらにオープニングを歌う女王蜂の楽曲「MYSTERIOUS」が抜群にマッチしている。この先にどんな展開が待っているのかが気になる作品だ。

  1. 1
  2. 2