■スタンドバトルにも利用される「生物が持つ不思議な性質」

『ジョジョ』といえば、登場人物たちが持つ特殊能力“スタンド”による超常的なバトルも魅力の一つ。特殊な力の応酬のなか、日常の「雑学」が散りばめられているのも見逃せないポイントだ。とくに「生物」の生態にかかわる知識は思わぬ場面で登場し、主人公たちを手助けしたりもする。

 第3部ではオランウータンのスタンド使い・フォーエバーが登場するが、主人公・承太郎との戦いで致命傷を負う。するとフォーエバーは着ていた船長服の前をはだけさせ、腹を見せた。これは動物が本能的にとる「降伏のアピール」。つまり、自身の敗北を察した彼の最後の悪あがきポーズだったということだ。

 このような生物系雑学は、第5部の主人公・ジョルノのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」の能力においてとくに多く見られる。彼のスタンドは、物体に生命力を注ぐことで新しい生物を生み出すというもの。

 作中、ジョルノはアバッキオから“お茶”(と称した尿)を飲まされそうになるが、自身の歯の1本に生命を与えてクラゲに変化させ、ピンチを切り抜けている。肉体の98%が水分で構成されるクラゲの稀な体質を利用したもので、スタンドで変化させた歯に“水分”をほとんど吸収させたということだ。

 また、ジョルノは強烈な毒に侵された際、毒に汚染された地域のレンガに生命を与えて蛇を作り出したことも。これは、毒素の強い地域で産まれた生物には毒に対する抗体があることを利用した策でもあった。この蛇の血清により、ジョルノは一命をとりとめている。

 それにしても、さまざまな生物の特性を用いて、個々の能力をより魅力的に描く荒木飛呂彦氏の博学ぶりには驚くばかりだ。

 

 ちょっとした語学から、国や土地独特のマナーや風習、生物の生態など、『ジョジョ』の作中には、さりげなくこういった豆知識が登場する。

 一見、特殊能力のぶつかり合うバトルや、サスペンス性の強いストーリーに注目してしまいがちだが、随所に散りばめられたトリビアにも注目していくと、また違った視点で「奇妙な冒険」を楽しむことができるかもしれない。

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