■残酷シーンで流れ続ける「歓喜の歌」

 アニメとクラシック曲といえば、外せないのが『新世紀エヴァンゲリオン』。同作ではさまざまな名曲が劇中曲に使われ、時にはキャラが実際に演奏しているシーンもあり、『エヴァ』でクラシック音楽にハマったという人も多いのではないだろうか。

 視聴者を驚かせる演出がふんだんに盛り込まれたテレビ版『エヴァ』の終盤、特に衝撃的だったのが第24話「最後のシ者」での碇シンジと渚カヲルのバトルシーン。23話で初登場したカヲルは、心を開かないシンジに対してどんどん踏み込んでいき、心を通わせる存在になっていた。

 しかしカヲルが使徒と判明すると状況は急変。シンジはカヲルを最後の使徒として殲滅するために動き出す。シンジはカヲルに裏切られた気持ちを抱きつつ、敵として割り切ることができなかった。一方のカヲルは自ら全てを終わらせるために、シンジの手によって殺されることを望んでいたのだ。

 この戦闘シーンで流れたのが、ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章「歓喜の歌」。シンジが激闘の末にカヲルを初号機で捕まえると、そこからは長い沈黙とともに「歓喜の歌」だけが流れ続け、そして……。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』でも印象的なシーンでバッハの「G線上のアリア」が流れるが、残酷な場面にクラシック曲を重ねる『エヴァ』の演出は当時大変ショッキングだった。

 その他には『涼宮ハルヒの憂鬱』でショスタコーヴィチが流れたり、『カウボーイビバップ』でチャイコフスキーが流れたりなど、アニメで使用されたクラシック曲は珍しくない。印象的な場面で使われることによって情報量が何倍にも膨らみ、「神回」として語り継がれるような名シーンになるのではないだろうか。

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