■良作ぞろいの秋アニメで突出した存在になるか

 2022年の秋アニメは『SPY×FAMILY』や『ポプテピピック』、『チェンソーマン』など放送前から期待の高まる良作ばかり。しかしこのPVを見た人からは「PVが既に覇権アニメ」「昭和の名作をリメイクするのに令和の最高戦力をもって臨んでくれている感じがあってとてもうれしい」「キャラたちがハチャメチャに動くPVに、おかしさと懐かしさで感動して泣ける」「絵柄が当時にかなり近く、それが現代の技術で美しく描かれていることに感動しております。声優さんも全く違和感ございません。泣きそうです」と、放送前から『うる星やつら』に「覇権アニメ確定」といった声が上がっている。

 筆者がこのPVから特に感じたのは、製作陣が当時の作品の持つ「あたたかさ」を大切にしているということ。大好きな作品がリメイクされる際には、連載当時にはなかったものが当たり前のように描かれていたり、オリジナル作品の持つ荒さや勢いが削られて、全体的にスマートな印象になってしまうことが少なくない。好きなものが現代によみがえることをうれしく思う反面、自分があの頃に愛したものとは違うものになってしまったような気がしてさみしくなってしまう。

 その不安を36年ぶりの『うる星』はかき消してくれた。ドタバタと暴れ回るPVのキャラたちを見ただけで懐かしさで胸がいっぱいになっているのだから、本編を見たら感情がどうなってしまうのか。放送が待ちきれなくなった筆者のようなファンは多いのではないだろうか。

 そもそも今回『うる星』が36年ぶりにアニメ化するにいたったのは、小学館創業100周年を記念してのこと。数多くある小学館の漫画作品の中でも、『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』などの名作を多く生み出した代表的な漫画家の1人である高橋留美子氏の不朽の名作をリメイクすることとなったのだ。今回のアニメでは選び抜かれた原作エピソードを4クールにわたって再度テレビアニメ化するというかなり力の入った企画となっている。

 また今後の展開として、10月4日から全国のローソン店舗とのコラボも決定。ラムのツノに形が似ているため、明治「たけのこの里」もマグネットシートつきの限定コラボパッケージで発売される。

「あの頃」を知っている人も知らない人も、心の底から楽しめそうな新作アニメ『うる星やつら』。放送は10月13日より開始。

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