■したたかに状況を進める大局的な視点

「天地魔闘の構え」ほど目立つ内容ではないが、バーンが持つ頭脳・知略も特筆すべき点だろう。バーン自身が圧倒的な力をもつため、基本戦略はほぼ誰も知らず、静かに状況を進めていた。バーンの真意は直属の部下であるハドラーにも知らされることはなく「魔王軍を編成して地上を支配する」という本作当初の目的でさえカムフラージュだ。

 最終決戦においても、ヒュンケルとクロコダインの公開処刑をエサに、地上の強者を同じ場所に集めている。その結果、地上の戦士たちは、世界中に散らばる超爆弾「黒の結晶」を止める手立てがない状況に陥ってしまった。

 作中で切れ者といえばポップやアバンを思い浮かべるが、おそらくそれ以上の知略を持っているのではないだろうか。ポップとアバンは頭の回転が早く、バーンも警戒する人物だが、どちらかといえば戦術的な策を得意とする印象がある。一方、太古から魔界で冥竜王ヴェルザーと覇権争いをしていたバーン。戦略的な行動や作戦を得意としていても不思議ではない。

■バーンの強さの源!圧倒的な魔力

 カイザーフェニックスやカラミティエンドなど、すべての技が強力。その源は底が見えないほど圧倒的な魔力にある。技や魔法はもちろんだが、それ以外にも人智を超えた現象を引き起こしている。

 たとえば、魔力を開放しただけで地面が放射状にえぐれたり、弱そうな小さいモンスターが進化(?)して強力なモンスターに変わったりしている。さらに、最終決戦ではバーンの額にある第3の眼「鬼眼」を開放したことで、ダイとポップ以外は「瞳」と呼ばれる宝玉に変化させられてしまった。もはやできないことはないのではないかと思わせられる。

 戦いにおいて魔力の真髄をまだ発揮していないため、残り数話だがバーンが何をしてくるのか楽しみに待ちたい。

 1991年にアニメ化された際は原作とは違った形で最終回となった『ダイの大冒険』。今回のアニメはもうじき100話を迎える予定で、ジャンプ本誌で連載していたころからのファンにとっては、およそ30年越しのアニメ完結となる。無事に終わるのがうれしいものの、ダイたちとの別れが寂しいというファンは少なくないだろう。

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