■軍人として功績を残し、パイロットとしても優秀だったニュータイプ「シャリア・ブル」
シャリア・ブル大尉は、木星帰りのニュータイプ。木星から戻ったシャリア・ブルをジオン総帥のギレンが自ら謁見したあたりからも、階級以上に彼の重要性が感じられた。ギレンは「今回の君の船団の帰還でヘリウムの心配はいらんわけだ。私とて何年もこの戦争を続けるつもりはないからな」とシャリアに語っており、彼の率いるエネルギー船団が持ち帰った資源がいかに重要だったかを物語っている。
これだけでもかなり有能な男に思えるが、フラナガン機関の調査によってニュータイプであることも判明。シャリア・ブルは彼のニュータイプ能力に合わせたモビルアーマーの開発が行われているキシリアの元へ送られることに。
「私がなぜ君をキシリアのもとにやるか分かるか?」と意味深に問いかけたギレンに対し、シャリアは「わたくしには閣下の深いお考えは分かりません。しかし、分かるように努力するつもりであります」と返答。総帥に対して余計な詮索や言及はせず、ただ命令に従うあたりに、シャリアという男の人間性と優秀さが感じられる。
さらにニュータイプ専用モビルアーマー「ブラウ・ブロ」に乗りこんで出撃したシャリアは、いきなりの実戦でオールレンジ攻撃を駆使。ガンキャノンの脚部を破壊すると、アムロは慌ててカイとハヤトを撤退させようとした。
さらにシャリアは、オールレンジ攻撃でガンダムをオーバーヒートさせるまで追いこむ。が、アムロに本体の位置を察知され、至近距離からビームライフルを撃ちこまれてブラウ・ブロは爆散した。
とはいえニュータイプとして開花しつつあったアムロをあれだけ焦らせたパイロットはそう多くない。シャリアはパイロットとしても相当優秀だったはずだ。
それにシャリア・ブルは、アムロのガンダムが迫ってくるのをいち早く察知すると、真っ先にブラウ・ブロに同乗していたシムス中尉に「逃げろ!」と叫んだ。自分の危険よりも女性技術士官を先に逃がそうと考えるあたりに、彼の人間性の素晴らしさがうかがえる。
シャリア・ブルはニュータイプとしてもジオン屈指の逸材であるのは間違いなく、しっかり経験を積んだうえで、ちゃんとしたニュータイプ専用機を与えられていたらどれだけの戦果を挙げたのか気になる。作中ではあっさりとやられた印象だが、ジオンにとって惜しい人材を失ったと言えるだろう。