初代『機動戦士ガンダム』で主人公アムロ・レイが乗ることになったホワイトベースの主要な乗組員は艦長代行を務めたブライトをはじめ、多くが若者中心。なりゆきで民間人までモビルスーツのパイロットを務めていたほどの寄せ集めだった。
対するジオン公国軍にはプロフェッショナルなベテラン軍人が目立った印象。今回はそんなジオン軍人の中でも、たしかな有能さを感じた人物たちを紹介していこう。
■シャアの忠実かつ有能な部下「ドレン」
ファーストガンダムの物語序盤から登場するシャアの副官、ドレン。赤い専用機ですぐに自ら前線に出撃してしまう上司に代わり、ムサイ級「ファルメル」を任されていた。現場で培ったドレンの高い指揮能力がなければ、赤い彗星は帰る場所を失っていた可能性もあっただろう。また、第11話「イセリナ、恋のあと」では軍の上層部に知られるとマズイ偽装工作をシャアから任されており、信頼は厚かった。
シャアの左遷後、ドレンは少尉から大尉に昇進。もっさりとした中年太りの容貌とは裏腹に、かなりできる男であったようだ。
32話「強行突破作戦」ではシャアに対して「お久しぶりです、シャア少佐! あ……いや、今は大佐でいらっしゃいましたな」と祝辞を交えた絶妙なヨイショを入れてシャアを和ませる。このあたりの対人スキルの高さからも、彼の優秀さがうかがい知れよう。
その後、ムサイ級3機からなるキャメル艦隊を率い、ホワイトベースを追撃したドレン。シャアの到着を待たずにホワイトベースに総攻撃をしかけるも、遅れて出撃してきたガンダムに返り討ちにあい、ドレンはその生涯を終えた。
シャアの到着前に因縁のあるホワイトベースを撃沈したいという焦りがあったのかもしれないが、彼のミスというよりも、それ以上にアムロの鬼神のごとき戦いぶりのほうが印象深い。
ドレンの敗北を知ったシャアは、「あのドレンが私の到着まで持ちこたえられんとはな……」とつぶやいたが、その言葉こそシャアがドレンという男を高く評価していた証とも言える。