■キュンキュンが止まらない！『高校デビュー』の小宮山ヨウ

「こんなヒロインになってみたい！」と思う女子が続出したのが『別冊マーガレット』（集英社）で２００３年から２００８年まで連載された、河原和音氏の『高校デビュー』だ。

　明るく単純で何に対しても一生懸命な主人公・長嶋晴菜は“高校で彼氏を作る”という目標を持ち、邁進するキャラ。しかし、中学時代は部活一筋で過ごしてきたこともあり、なかなか“男ウケ”が分からずに行き詰まってしまう。そんなとき、“モテコーチ”を頼んだのが、街で偶然出会った同じ学校の先輩・小宮山ヨウだった。

　ヨウは圧倒的なルックスと、女子になびかないクールな性格で学校中の女子にモテる生粋のモテ男。しかし、本人は恵まれた環境をむしろ恨んでおり、過去にはモテすぎることで恋愛にトラウマも抱えていた。

　当初はモテたいと豪語する晴菜を理解できなかったヨウだが、純粋に努力をする晴菜の姿に心打たれ「自分を好きにならない」ことを条件にコーチを引き受け、協力することになる。

　一方、ヨウに何の感情も持っていなかった晴菜は、ヨウがふと見せる笑顔や優しさを間近で感じていくうちに恋心を抱いてしまい、勇気を振り絞って玉砕覚悟で告白をする。結果的にヨウも晴菜に惹かれていたことを自覚し、恋人同士になる２人。学校一のモテ男を彼氏にした晴菜の日常は、ファンが羨ましくなるような日々へと変わっていった。

　一見、クールに見えるヨウだが、彼女である晴菜をとても大切にするのが印象的。パーフェクトなルックスで性格も素敵な彼氏に溺愛される晴菜みたいになりたい！と、多くの女子が熱望したことだろう。

■危ない香りにドキドキする女子続出！『ＮＡＮＡ』の本城蓮

　ワルそうな雰囲気の男性に惹かれる女子も多い。そんなワルい男の代表が矢沢あい氏の『ＮＡＮＡ』に登場する本城蓮だ。

『ＮＡＮＡ』は同じ名前を持つ２人の主人公が偶然出会うところから始まる物語で、正反対の性格であるナナと奈々の目まぐるしく変化する日常を描いている。

　その主人公の１人であるナナの恋人が本城蓮だ。過去にナナのバンドメンバーであり、交際もしていた蓮だが、有名バンドのメジャーデビューに伴い引き抜かれ、２人は一度別れを選択する。しかし、その後図らずも再会し、再び恋人同士となった。

　蓮はルックスも良く、音楽の才能もあるとてつもなく魅力的な男性。しかし、その反面、どこか危なっかしい部分を持つ。ステージ上ではヒーローでクールな印象だが、その内面は非常に繊細で、薬物に手を染めてしまったり、ナナに深く依存する一面も。

　しかし、自分がいないと崩れてしまいそうな危なっかしさと、蓮の持つ“ワルい男”の雰囲気に惹かれてしまう気持ちは分からなくはない。女子なら誰しも憧れる「自分だけを見てくれる一途な彼氏」として、蓮は最適なヒーローではないだろうか。

 

　少女漫画にはさまざまなヒーローが登場するが、その中から自分好みのキャラクターを探してみるのも、少女漫画を読む醍醐味の１つだと思う。

　紹介した４人の男性たちは、それぞれがモテ男なのにもかかわらず、たったひとりの女性を一途に思っているところが共通点。こんな男性と恋愛したいと思ってしまうのは仕方がないだろう。ぜひ、読書の秋にどっぷりと恋愛漫画の世界にハマってみてはいかがだろうか。

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