■味方全滅の無限ループから逃れた川尻早人!

 次は第4部に登場した少年・川尻早人。早人の父親である川尻浩作の顔を乗っ取り、成りすまして生活していた吉良吉影は、早人に本当の父親ではないことがバレ、衝動的に殺してしまうことになる。そんな絶望的な状況により生まれたのが吉良の新たな能力「バイツァ・ダスト」だった。この能力により、早人はループ世界の起点となる存在として生き返り、早人に吉良吉影のことを探ろうとする者は爆死することになった。

 早人がこの能力に気付いたのは世界を2巡した後で、一度死んだ人間は必ずその時刻になると吉良のことを聞き出さなくても死ぬことが分かった。そのため最初の犠牲者となった岸辺露伴が死ぬ時刻よりも前に「バイツァ・ダスト」を吉良に解除させなければならない。

 この複雑なルールの中で早人が考えた策が、天井裏にある猫草を使って吉良が近づいたところを攻撃するというものだ。吉良を直接攻撃して殺せば全ては解決すると思われたが、吉良は偶然にも胸ポケットに入れてあった時計のお陰で猫草の攻撃を防ぐことになる。これには吉良も高揚したのか、高笑いをして「そう…わたしの名は『吉良吉影』フフフ…ハハハ…」と自ら名乗ってしまう。

 失敗に思えた早人の猫草攻撃だが、彼の本当の狙いは通学途中の仗助に吉良が自ら名乗る現場を見せることにあった。実は早人は家を出る前に、仗助の家に電話を掛けて仗助を早く起こしていたのだ。それによって仗助はいつもよりも早く登校することになり、吉良が自ら名乗るのを聞くことできた。

 吉良吉影という名前を聞いた仗助は吉良を攻撃し、吉良は「バイツァ・ダスト」を解除し、露伴は死を免れることになる。早人が猫草の策が失敗しても良いように、仗助の家に電話をしたのは神機転と言えるだろう。

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