■ほかの2人が有能すぎた…サマルトリア王子

 最後はファミコン版『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』から、サマルトリア王子だ。前述のホルス王子やキーファ王子と違って性格的な難は無く、3人で旅をするドラクエ2のシステム上、最後まで貴重な戦力となる。しかしながら、どうしても他の2人より見劣りしてしまう点が多く、彼にヘッポコ王子のイメージを抱くプレイヤーは少なくないだろう。

 性能的にはホイミ系やザオリクなどの回復・補助系魔法が使えて、物理攻撃もこなせる万能タイプ。一般的なドラクエシリーズで考えると、主人公のような使い心地となっている。

 しかしその万能性が、惜しくも器用貧乏なパラメータとなって残念な要素となってしまった。主人公であるローレシアの王子は物理特化型で攻撃力、耐久力ともに申し分ない。ムーンブルグの王女は物理的なパラメータには全く期待できないが、魔法特化型のキャラとなっていて、攻撃魔法、回復魔法ともに強力だ。

 サマルトリア王子は物理型としては撃たれ弱く、ムーンブルグの王女とそれほど変わらない印象。攻撃力も魔法関係も、他の2人と比べるとイマイチなのだ。

 緊急時以外でのベホイミや、後半に覚えるザオリクなど、ムーンブルグの王女と補完するように役には立っているはずなのだが、さまざまな要因でヘッポコ王子としての印象が確立されている。

『ドラクエVIII』のチャゴスや『ドラクエXI』のファーリスなど、ワガママだったり臆病だったりする王子がなぜか多いドラクエ。ただいずれも、その先には国の将来を考えて成長する姿が描かれていたりと、どこか応援したくなってしまう人物でもある。強さを求められる立場と、本来の弱さの間でもがく人間らしい彼らの姿に、やはりどこか惹かれてしまう。

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