■“八門”を開いた人は死んでしまう禁術「八門遁甲の陣」

 岸本斉史氏の『NARUTO』は、1999年から2014年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた忍者漫画だ。“忍者”というと忍術や幻術を使って戦うイメージがあるが、同作に登場する上忍のマイト・ガイにはもともとそれらの才能がまったくなかった。しかし、彼は努力を重ねて体術を鍛え上げ、強い忍者へと成長する。

 そんなガイが使用する究極の体術奥義は、「八門遁甲」と呼ばれるもの。これは、体にある8つの“門”ををねじ開けることで常人離れした力を出すことができる術だが、体に大きな負担がかかるリスクがあるため、“禁術”とされている。なんでも、すべての門を開く「八門遁甲の陣」の状態になると使用者はほぼ確実に死ぬと言われているのだ。

 それにもかかわらず、ガイは忍界大戦編にて「八門遁甲の陣」を使って敵を圧倒した。「自分の大切なものを死んでも守り抜く時!!!」と、自身の命を振り返らずに戦った彼の戦闘シーンは非常にアツく、数ある『NARUTO』のシーンのなかでも、とくに印象深いものだった。ちなみに、ガイはこの戦闘で命が尽きかけたが、ナルトによって死の淵から生還している。

 

 寿命や命と引き換えに強い力を手に入れる……漫画ではよくこのような描写を見るが、そこまで至るのにキャラクターたちはどれほどの努力や強い思いがあったのだろう。
 自分の命と引き換えにするなら、どんな力を手にしたいか? そんなことを考えながらこれらの作品を読み返してみるのも、面白いかもしれない。

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