漫画には現実とはかけ離れた世界が広がっており、見る人の心を惹きつける。たとえば、カッコ良い必殺技には、誰もが一度は憧れたことがあるだろう。自分ならどんな技を編み出し、どんな効果を付けるか? そんな想像をしたことがある人は少なくないはずだ。
しかし、そんな魅力的な必殺技の中には、命を削ることで強い効果を発揮するものがある。今回はそんな「寿命を犠牲に得る特殊な力」をご紹介したい。
■寿命を半分捧げると相手の情報を見ることができる「死神の目」
2003年から2006年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された大ヒット作、原作・大場つぐみ氏、作画・小畑健氏の『DEATH NOTE(デスノート)』。同作は、名前を書くことで人を殺すことができる「デスノート」を拾った主人公・夜神月を取り巻くキャラの頭脳戦が醍醐味の漫画だ。
デスノートを使って人を殺すには、“必ず本名を書かなければならない”というルールがある。そのため、同作において“本名”は非常に重要な意味を持つ。実際、ライバルであった探偵・Lの本名を知ることができず、月は相当苦戦していた。
しかし、ただの人間でも本名を確認できる方法がある。それが“死神の目”だ。死神と契約した人間は相手の顔を見ただけで本名と寿命を確認できるようになるが、その代償として、自分の残りの寿命の半分を死神に支払わなければならない。
同作で、アイドルの弥海砂は月の手助けをするため、“死神の目”を手に入れていた。まるで“人を呪わば穴二つ”のような能力を好きな人のために手に入れてしまった海砂はどんな気持ちだったのだろう……と、つい考えてしまう。
■発動すると寿命が短くなる「絶対時間」
冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』(集英社)は、“念”という力を用いたバトルアクション漫画だ。
作中に出てくる「念能力」には“制約と誓約”という概念があるが、これは特定のルールを自身で作って遵守することで、よりその念能力の威力や精度を上げることができるというもの。
たとえば幻影旅団に属するフランクリン=ボルドーの念能力「俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)」は、両手の10本の指から“念弾”を乱射するというものだったが、両手の指を切り落とす覚悟のもと、より威力を持つ“念弾”を作ることが可能となった。
なかでもハイリスクハイリターンな念能力を作り上げたのが、クラピカだろう。彼は“緋の目”の状態になると、すべての能力を100%まで引き出せる「絶対時間(エンペラータイム)」に入ることができる。しかし、この能力は“発動時1秒につき1時間寿命が縮む”という、ハイリスクな制約をすることで作り上げたものだ。
作中ではこの能力を使って、幻影旅団でもっとも力が強いウボォーギンに勝利を収めている。しかし「絶対時間」の強さが一級品とはいえ、ウボォーギンとの戦いが一瞬で終わったとは考えにくい。さらに、今回の王位継承戦の際にも、クラピカはずいぶんと長い時間、絶対時間を使っている。
実際のところ、彼の寿命はどれほど残っているのだろうか。復讐を果たすために作り上げた能力とはいえ、自らの寿命すら省みないクラピカが不憫に思えてならない……。