2022年は、漫画家・水木しげるさんの生誕100周年となる記念すべき年。東京シティービューでは9月4日まで『水木しげる妖怪百鬼夜行展』が開催され、関連書籍の刊行やタイアップグッズが販売されるなど盛り上がりを見せている。数々の名作を遺した水木さんだが、中でも国民的に人気となったのが『ゲゲゲの鬼太郎』。テレビアニメは1968年から放送が開始され、2018年までに計6期、『墓場鬼太郎』を加えた7シリーズが放送。2023年秋には、新作映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の公開も控えている。
主人公の鬼太郎が悪い妖怪から人間を助ける『ゲゲゲの鬼太郎』の物語。最近では第6期が日曜朝に放送されていたことから低年齢向けのアニメのイメージが強くなっているが、もともとはおどろおどろしい作風で、中でも1971年から放送されたテレビアニメ2期はファンの間でも「怖い」と評判だ。そこで今回は「原作に近い」「ホラー感が強い」と名高い、テレビシリーズ2期より筆者の厳選した恐ろしいトラウマ回を紹介したいと思う。
■地獄の使者の祟り「イースター島奇談」
まずは2期の中でも特に怖いと名高いエピソード「イースター島奇談」から。これは福島というチンケな占い師の男が、商売敵である人気占い師を罵倒して撲殺したところから始まる物語。
殺害現場を見て「人を虫ケラのように殺すなんて」と激怒する鬼太郎だったが、福島は既に逃亡。そのうえ、福島は父の日記に残されていた情報を頼りに、「命、金、幸福を自由に得ることができる」呪文を操るという地獄の使者に会いに南米のイースター島に向かっていたのだった。
どこまでも身勝手で、私利私欲を満たすためにイースター島でも祟りすらかえりみずに行動する福島だったが、モアイ像の下を掘り当てたタイミングで本物の地獄の死者「アクアク」が登場し、そこから恐怖が始まる。この世のものではないアクアクは、エコーがかった恐ろしい笑い声を発しながら福島を軽く担ぎあげ、地底深くへと引きずり込んでいくのだった。
殺人事件から始まり、イースター島での祟りが描かれ、そして最後には日本を舞台に移し鬼太郎さえギョッとしてしまうオチも待っている。70年代当時にテレビでこのエピソードを見た子どもたちはあまりの恐ろしさに震え上がったのではないだろうか。