2022年10月2日より『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(TBS系)が放送開始となる。今作は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』以来、約5年ぶりのテレビアニメシリーズということや、若者から支持を得ている人気アーティスト「YOASOBI」が主題歌を担当することでも話題だ。
また同年の6月3日からは『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が劇場公開されており、興行収入は10億円突破、観客動員数55万人超えを記録。こちらは初代ガンダムの名エピソードをモチーフに製作された作品である。
今もなお、新旧作品の両軸で世界が広がり続けるガンダムシリーズ。今回は、そのガンダムシリーズの元祖でもあるテレビアニメ版『機動戦士ガンダム』と、テレビ版を再編集した劇場版3部作の違いについて振り返ってみたい。
■劇場版ではカットされたテレビ版エピソード
1979年4月7日から放送開始された『機動戦士ガンダム』は当初、視聴率が振るわなかった。さらに玩具の売れ行きも悪く、全52話の予定だったテレビ放送は全43話に短縮され、事実上の打ち切りとなる。その後、ガンプラブームや再放送により人気は急上昇。ロボットアニメの金字塔となり得た。
そして『機動戦士ガンダム』の劇場版1作目は1981年3月14日に公開される。監督の富野由悠季氏は、同作をただのダイジェスト作品にしたくはないとして、新規カットなども追加された長編3部作となる。
130分超えの3部作に再編集された劇場版だが、1話24分構成・全43話のテレビ版の内容すべてを網羅することは不可能。そこで、本筋に関わらないエピソードの多くが劇場版ではカットされた。
その劇場版でカットされた中には、テレビ版屈指の名エピソードも含まれている。たとえば第11話「イセリナ、恋のあと」。盟友シャアに裏切られ、ホワイトベース隊との戦いで散ったガルマの恋人・イセリナが、ガウ攻撃空母に搭乗してホワイトベースに仇討ちにいく切ないエピソードだ。
さらに若手のジオン兵が本国に帰りたい一心で手柄を挙げようとガンダムに白兵戦を挑む、第14話「時間よ、とまれ」。今年映画化された『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の原案でもある、第15話「ククルス・ドアンの島」あたりも、ほぼすべてがカット。ほかにも劇場版に尺を合わせる関係で、テレビ版のエピソードが多数削られている。