■「科学が神を越える番だ」異種格闘の極み!科学者VS蠅の王『終末のワルキューレ』

 次に紹介するのは、『月刊コミックゼノン』で連載中の原作・梅村真也氏、構成・フクイタクミ氏、作画・アジチカ氏による『終末のワルキューレ』。本作は「神VS人類」のタイマン勝負を描いたバトル漫画で、2023年よりNetflixにて第2期独占配信が決定している。

 ブリュンヒルデの提案で人類の存亡をかけた「神VS人類最終闘争(ラグナロク)」が行われることとなった。天界からは13柱の神が、人類側からは13人の英傑たちが「神器錬成」した戦乙女たちを武器に戦う。

 アダムvsゼウスや佐々木小次郎vsポセイドン、他にも最強力士の雷電vs破壊神シヴァなどはまさに異種格闘の様相を呈するが、その最たるものが第8回戦だろう。ここで人類側の闘士として登場した「ニコラ・テスラ」は剣士や格闘家の類ではなく「天才科学者」。対するベルゼブブは「サタンに呪われている」と噂され、神側の代表でありながら観客席の神々からも忌み嫌われる存在だった。

 どう考えても人間側に不利と思える対戦だが、テスラはパワードスーツのような「-超人-自動機械β」を神器錬成すると身にまとい、カタパルトで発射されるド派手な演出で闘技場入り。さらに、ベルゼブブが繰り出す魔法のような攻撃をテスラは迷わず「『科学』だ」と断言するなど他の肉弾戦では見られない展開ばかり。ここから先もますます見逃せない一戦となりそうだ。

■文豪の名を冠する登場人物が作品タイトルで戦う異能バトル『文豪ストレイドッグス』

 最後は2023年1月からアニメ第4シーズンの放送を控えた、『ヤングエース』で連載の原作・朝霧カフカ氏、作画・春河35氏による『文豪ストレイドッグス』。日本や海外の文豪をキャラクター化し、それぞれの作品などにちなんだ「異能力」で戦うバトルアクション漫画である。

 主人公の中島敦はヨコハマを放浪していたところ、川で入水自殺をしていた太宰治を助ける。異能集団・武装探偵社に所属していた太宰は人喰い虎を捜していたのだが、実はその虎こそ敦が無意識に異能力「月下獣」で変身していた姿であった。敦は太宰の「人間失格」で能力を無効化され、彼の口利きで探偵社に入社することになる。ポートマフィアの芥川龍之介や中原中也など、強力な異能者が次々に探偵社へ襲いかかるのだが……。

 本作の誕生について朝霧氏は「文豪がイケメン化して能力バトルしたら絵になるんじゃないか」と、編集と盛り上がったのが切っ掛けであると述べている。その言葉通り、『文スト』に登場する人物の多くはイケメンぞろいのため女性ファンも多い。一方、実在の泉鏡花や尾崎紅葉は男性であるのに対し、作中では美少女や姉御肌な美女へと性別が変わっている。

 ちなみに、本作の外伝小説では京極夏彦氏や綾辻行人氏ら現在の推理小説家が「文豪キャラクター」となり、2013年のコラボでは『ダ・ヴィンチ・コード』の著者ダン・ブラウン氏もキャラ化され大きな話題となった。

 偉業や武勇など後世に何かを残した偉人たち。彼らの足跡が大きければ大きいほど、次はどんな作品で出会えるのか楽しみだ。

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