■巨悪・鬼舞辻無惨を生み出したのは…
『鬼滅の刃』で凶悪なキャラといえば、誰もがラスボスの鬼舞辻無惨を思い浮かべるだろう。彼は1000年にわたって数多くの人間をその手で葬ってきただけでなく、下弦の伍・累が鬼殺隊に殺されたときには他の下弦の鬼達を召集し、魘夢を除いた全員を一度に粛清するなどの傍若無人ぶりをみせていた。
無惨は作中で圧倒的な強さを誇り、鬼殺隊の面々に深い絶望を与えたが、彼はもともと病弱なただの人間だったのだ。
胎児のころから心臓は何回も止まり、生まれたときには脈も呼吸もなかったために死産と判断された無惨。その後も病床に伏せてばかりだったようで、医者からは「20歳になるまでに死ぬ」と言われていた。
しかし善良な医者が彼を助けようと青い彼岸花を使った新薬を投与したことで、無惨は鬼として生き永らえることになってしまう。人間にとっては長い絶望の始まりだ。本人は良かれと思ってのことだろうが、彼に薬を投与したこの医者こそ、結果的には作中でもっとも「余計なことをした」キャラだと言えるのではないだろうか。
なおこの医者は、薬を投与されてもなお病状が良くならないことに憤慨した無惨が背後から刃物で頭を割って殺してしまったため、青い彼岸花についてどこまで知っていたのか、彼は何者だったのかは最後まで不明であった。
■「良かれと思って」が混乱を招く事態に
最後に紹介するのは、思いやりでやった行動が結果的に周囲を困らせることになってしまったタイプの人。2009年に公開されたアニメ映画『サマーウォーズ』は、インターネット上の仮想世界を舞台に、サイバーテロに立ち向かう大家族の姿が描かれる。人と人の絆の大切さを感じさせるハートフルな作品で、夏になったら必ず見たくなるという人も多いだろう。
その中で陣内栄のひ孫にあたる、警察官の陣内翔太というキャラクターが登場するのだが、彼は親戚一同がサイバーテロと戦っている間にとんでもないことをしてしまった。
主人公の小磯健二や池沢佳主馬らが仮想空間で暴走した人工知能プログラム・ラブマシーンと2回目の対決中のときのこと。勝利は目前かと思われたそのとき、コンピューターの熱暴走により突如包囲網が崩れてしまう。
それは翔太が、熱暴走を防ぐためにコンピューターの周りに置いていた大量の氷を、死んだ曽祖母が暑い思いをしないようにと彼女の周りに移動させてしまったためだった。そしてこれが原因で、佳主馬の操るアバターのキングカズマはラブマシーンに敗れてしまう。
しかもそのあと、事情を知らない翔太は「お子さまはのんきにゲームかよ」と佳主馬らにイヤミを言う始末。下手をすれば人工衛星が落ちてきて人類滅亡の可能性もあったのだから、たとえそれが大好きなおばあちゃんを思いやっての行動だったとしても、彼がやったことはまさに「余計なこと」というほかないだろう。
意図はどうであれ、作中の戦況を大きく揺るがすことになってしまった戦犯キャラたち。冷静に見ると、彼らには少しイライラしてしまうかも?