今から39年前、1983年の9月13日に『週刊少年ジャンプ』で『北斗の拳』が連載開始されたことにちなみ、9月13日は「北斗の拳の日」として記念日認定されている。
199X年の核戦争後の荒廃した世界を舞台にケンシロウの過酷な戦いを描いた同作だが、現在は他作家による「スピンオフ作品」も描かれており、ラオウにスポットをあてた『北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王』のようなシリアスなものから、サウザーらを主人公とした『北斗の拳 イチゴ味』のようなギャグパロディまで、スピンオフの作風は色とりどり。
連載開始から39年がたった現在も、その奥深い世界観で多くの読者を魅了し続けているが、それも『北斗の拳』に登場したキャラクターたちがいかに魅力的だったかに尽きるだろう。
そこで今回は、数多くある『北斗の拳』スピンオフ漫画の中から、特に“自由さ”が際立った作品をいくつか紹介したい。
■ハート様の笑撃の過去『北斗の拳 イチゴ味 外道伝 HEART of Meet~あの日の約束~』
まずは2013年から「WEBコミックぜにょん」で連載中の原作・河田雄志氏、作画・行徒妹氏による『北斗の拳 イチゴ味』。
原作『北斗の拳』に近い絵柄で名シーンを忠実に再現しながらのギャグやメタ発言が楽しめる同作。シンやサウザーなど、これまでさまざまなキャラにスポットをあてた外伝漫画が描かれたが、今回取り上げるのは“ハート様”の幼少期を描いた『外道伝 HEART of Meet~あの日の約束~』。
ハート様といえば南斗聖拳・シンの部下であり、その特殊な贅肉で北斗神拳を無効化したヒゲでハゲな巨漢の男。ところが、『月刊コミックゼノン27号』2013年2月号に掲載された『HEART of Meet』のハート様の姿は、今とはまったく違った儚い雰囲気の「美少年」だった。
同作の彼は「アルフレッド」という病弱な14歳の少年。裕福な家庭に生まれるも幼い頃に両親を亡くし、姉のサラや家政婦のエマと暮らしていた。そんなある日、アルフレッドは誘拐犯にさらわれ、助けようとしたエマが弟の目の前で殺されてしまう。絶体絶命に陥った少年を救った拳士の正体は……。
ハート様の丁寧な言葉遣いは裕福な家庭で育ったため。血を見て逆上してしまうのは姉が殺されたトラウマ体験があったから。など、原作設定の裏づけとなるエピソードが盛り込まれている。とはいえ、アルフレッドがハート様になるまでわずか数年の間に一体何があったのか気になるところだ。