■女性に対する粋なプレゼント?

 続いて紹介するのは『幽遊白書』の「飛影」。超高速の剣術と黒炎を操る能力を持ち、クールな性格と圧倒的な強さが特徴のキャラクターだ。実は飛影は、魔界の三大妖怪と呼ばれる存在・躯とのやりとりで、意外なほど慈愛に満ちた表情を見せている。

 躯は魔界の奴隷商人・痴皇の娘で、その父からひどすぎる虐待を受けていた。7歳の誕生日に自ら酸をかぶることで自身への興味を失わせ、捨てられたことで自由を手にしたという経緯がある。

 しかし躯は、毎年誕生日付近になると痴皇に優しくされた思い出がよみがえり、そのことに葛藤して苦しんでいた。飛影は、それが娘の躯からの復讐を防ぐための催眠術が原因だとつきとめ、元凶である父・痴皇を捕らえてプレゼントする。

 しかもご丁寧に痴皇の体に、宿主が傷つくと本能的に治す寄生植物を融合させ、躯が好きなだけ切り刻めるようにしていた。

 このとき躯は心の底から安堵したような表情を見せ、飛影はほほ笑みながらひと言「ハッピーバースディ」とつぶやく。この飛影の意外な一面にドキッとした女性ファンは多いのではないだろうか。

■家族同様の愛情表現にビックリ!?

 最後に紹介するのは、『NARUTO -ナルト-』に登場する「うちはサスケ」。写輪眼という瞳術を受け継ぐうちは一族の末裔で、一族を皆殺しにした兄・イタチを殺すことを生きがいにしていたキャラクターだ。

 ストイックな性格のため誰かを大切に扱うことはないのだが、実はヒロインのサクラの前ではデレたことがある。それは、サスケが自らの意思で忍界を見つめ直す旅に出るのをサクラに告げたときのこと。

 サクラが顔を赤らめながら「わ、私もついて行くって言ったら?」と聞くと、サスケは「罪を償う旅でもある。お前はオレの罪とは関係無い」と突き放す。するとガッカリしたサクラに対し、サスケは「また今度な」「ありがとう……」とほほ笑みかけるのである。

 しかもこのときサスケは、子どもの頃に兄のイタチにされたのと同じように、指で相手のおでこに触れるしぐさをした。つまり彼にとって最大限の愛情表現をサクラにしたのである。

 ずっと憎しみにとらわれていたサスケがサクラに愛情を向けたシーンには、ただただ仰天するばかり。また、このサスケの内面の変化に感動を覚えた読者も多いことだろう。


 ふだんの印象からは想像できないデレシーンが飛び出すと、思わず何度も読み返したくなる。とくにツンデレ好きでなくても、こうした意外な表情を見せた場面にはグッとくるものがある。あなたの好きなデレシーンには、どういうものがあるだろうか。

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