『ドラゴンボール』鳥山明による“王道展開”との見事な対比!? 生々しく凄惨…紙一重であり得た「絶望的な未来」を振り返るの画像
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 鳥山明氏による『ドラゴンボール』は、言わずとしれた日本を代表する大人気漫画で、累計発行部数は2億6000万部超え。今年6月から公開されている新作アニメ映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は、8月18日から海外でも公開が始まり、全米初登場首位を記録するなど世界規模での大ヒット作となっている。

『ドラゴンボール』といえば、主人公・孫悟空が成長しつつ、次々と現れる強敵を撃破していくバトル漫画の王道とも言えるストーリーが魅力。しかし、そんな『ドラゴンボール』の中には、あまりにも残酷で殺伐とした世界がコミックスでも「番外編」として描かれていることをご存知だろうか?

 それは、作中で未来からやってきたトランクスの元いた世界。トランクスの介入がなければ、そのまま辿ったであろう、同じ作品とは思えないほど悲惨な“もう一つの世界線”について振り返ってみたい。

 

※以下には、コミックス『ドラゴンボール』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■ドラゴンボールらしからぬ救いなき「荒廃した世界」

 未来からやってきたトランクスのいた世界は、ドクター・ゲロの開発した人造人間によりベジータ、クリリン、ヤムチャ、天津飯、餃子、ピッコロが殺され、世界は絶望に包まれている。頼みの綱のはずの悟空はウィルス性の心臓病によって、戦うことすらできずにこの世を去っており、地獄のような世界になっていた。

 唯一残された孫悟飯は片腕を失いながら戦い続け、トランクスを鍛えていたが、とうとう人造人間によって殺されてしまう。亀仙流と同じカラーの道着を身につけた悟飯の遺体が横たわるシーンを見て、あまりにシリアスな世界観に本気で恐ろしさを感じた人も多いのではないだろうか……。

■人造人間の性格が本編と異なり、無慈悲かつ残虐

 トランクスのいる世界をめちゃめちゃにしたのは、人造人間17号と18号。本編でこの2人は、戦闘を楽しみながらも無関係な人にまでは手を出さず、正々堂々と戦いを挑んでいたのが印象的なキャラだった。しかし、トランクスのいた未来では、性格がまったく異なっている。

 未来の17号と18号はゲーム感覚で街を破壊し、生存している一般人を虐殺しながら楽しんでいる様子が描かれている。その殺し方もえげつなく、わざわざ車でひき殺したり、拳銃を使って至近距離から撃ち殺したりと残虐そのもの。面白半分で命を奪っていくのが見て取れ、これまでの悪役と比べても外道に近い部類だろう。

 こうした17号と18号の非道な行為は、トランクスが阻止するまで十数年も続き、この世界に残された人間はいつ殺されるかも分からない恐怖に怯え続けたという状況が恐ろしすぎる……。

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