■正義と悪の両面を持つ闇堕ちしたお姉さん?
メロンパンナちゃんのお姉さんといえばロールパンナだが、作中においての彼女は異彩を放つ存在でもあった。
ロールパンナはメロンパンナちゃんが見つけた「まごころ草」をジャムおじさんが入れて作ったパン戦士のひとりである。当初ジャムおじさんはロールパンナをメロンパンナちゃんの「お友だち」として考えていたが、彼女の希望で「お姉ちゃん」として制作することになった。
ところが、製作中のパンのたねにばいきんまんが「ばいきん草」を入れてしまったことにより、ロールパンナは「正義」と「悪」二つの心を持つという宿命を背負うこととなってしまった。彼女の胸に「赤」と「青」のハートマークがあるのはその象徴で、良心回路に苦しむ『人造人間キカイダー』を彷彿とさせる設定だ。
そんな自身に引け目があるのか、メロンパンナちゃんたちに懇願されてもパン工場へ帰ることをせず、ひとりで「くらやみ谷」などで野宿生活をしているロールパンナ。さらには、「ばいきん草」の成分が薄まるとアンパンマンたちへの敵対心も薄れるため、定期的にばいきんまんは「ばいきん草」を入れられるなど、女の子ながらハードな人生を歩んでいるようだ。
今回は筆者が意外と感じた『アンパンマン』の豆知識をいくつか紹介した。長寿作品としてあまりにも当たり前に見てきた「アンパンマン」たちだが、知られざる秘密がまだまだ隠されていそうだ。