■生意気だった少年が剣心の後継者にまで飛躍『るろうに剣心』明神弥彦

 最後に紹介するのは、和月伸宏氏による『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の明神弥彦。彼は神谷道場の門下生の1人で、剣心を目標として日々稽古を続けた10歳(初登場時)の少年だ。物語の当初は生意気な少年で、剣心たちから守られる存在に過ぎなかったが、読者が予想もしなかった急成長を遂げていく。

 京都編では、志々雄真実の配下の精鋭で構成された“十本刀”の刈羽蝙也と対決。飛天御剣流の「龍槌閃」を見様見真似で放ち、蝙也を倒す快挙を成し遂げる。さらに人誅編の乙和瓢湖との戦いでは、剣心に初めて戦いを任され、神谷活心流奥義「刃渡り」によって撃破。鯨波兵庫との戦いでは、達人クラスの剣気を出して驚かせていた。

 最後の戦いでも、雪代縁の元部下の呉黒星の護衛・玄武と戦い、神谷活心流奥義「刃止め」で勝利。剣心は弥彦のことを、四乃森蒼紫、斎藤一、相楽左之助と同じように「心から信をおいている仲間」と語っており、もはや一人前の剣客と言ってもいい強さだった。

 エピローグでは神谷道場の師範代になっており、世間からは東日本で五指に入る腕前と呼ばれていた弥彦。15歳の誕生日には、剣心から逆刃刀も託されている。まさかわずか5年で、あの弥彦が緋村剣心の事実上の後継者に成長するとは、誰も予想できなかったのではないだろうか。


 思いもよらないキャラが想像以上の急成長を遂げたり、予想もしない大活躍を見せる場面は読んでいて心が躍る。今回紹介した3名以外にも、こういった魅力的なキャラクターはたくさんいるので、それを探しながら作品を読んでみるのも面白い。

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