一部外伝的な作品を除き、基本的に宇宙世紀の『ガンダム』シリーズの主役機といえば、当然ガンダムのはず。だが、超有名作品の主役機なのに「実はガンダムではない」と言われている機体があるのをご存じだろうか?
このような「ガンダムではない?」と囁かれる機体がある一方、ガンダムらしからぬビジュアルなのに「設定上は実はガンダム」と言われる機体も存在する。
こうなってくると「ガンダムとはなんぞや?」という話にもなってきそうだが、こうした話題はファンの間でも意見が分かれるところだ。「何をもってガンダムとするのか」という定義は『ガンダムシリーズ』の永遠のテーマと言えるのかもしれない。
今回はそんなファンの間でも意見が割れそうな、ガンダムなのか、そうじゃないのかで揺れる宇宙世紀のモビルスーツたちを紹介していこうと思う。
■ジオン系の見た目だけど……幻のガンダム試作4号機がベースの「ガーベラ・テトラ」
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場し、デラーズ・フリート所属のシーマ・ガラハウが乗っていた機体、ガーベラ・テトラ。赤系統のカラーリングにモノアイと来れば、赤い彗星の駆る機体をほうふつとさせ、どう見てもジオン系統のビジュアルをしている。
だが、このガーベラ・テトラはアナハイム・エレクトロニクスとの裏取引によってシーマに譲渡されたもので、その基本フレームは「ガンダム開発計画」によるガンダム試作4号機「ガーベラ」が元になっている。つまり外見はジオンの機体ながら、中身はガンダムというのがガーベラ・テトラなのだ。
なお、アナハイムが試作4号機の形状をガンダム系から変更した理由について『総解説ガンダム事典 Ver.1.5』(講談社)には、「譲渡の露見を恐れての改修結果ともいわれる」と記載されていた。
ちなみに試作4号機は「ガンダム開発計画」の一環で開発が進められたが、宇宙での高機動機体というコンセプトがガンダム試作1号機と重複したため、開発が中止されたとのこと。ガーベラ・テトラのオプション兵装であるシュツルム・ブースターを装備した場合のスラスター推力は、ガンダム試作1号機フルバーニアンを超えるどころか、のちの世代の機体であるZガンダムなども上回る。とてつもないスペックの持ち主である。