■月を破壊した謎の超生物は数千人も殺めた「死神」
最後に紹介するのは、2012年~2016年の間に連載されていた松井優征氏のクライム・コメディ『暗殺教室』。月の7割をも消滅させるほどの力を持った謎の生物・殺せんせーと、彼の命を狙う生徒たちとの交流を描いた物語だ。
丸く大きな頭と何本もの触手を持つ殺せんせーは、まるで子どもが書いた落書きのように単純でタコを彷彿とさせるコミカルな容姿である。音速で飛行したり月を破壊するなど「世界最強の生物」としてさまざまな能力を持ちながら、力そのものはあまりなく弱点も多い。
そんな正体不明な殺せんせーだが、その過去は壮絶であった。もともとは人間だった彼は劣悪なスラム街で育ち、いつしか数千人もの人間を手にかけた殺し屋「死神」と呼ばれるようになる。人間の頃の彼は黒い髪と整った容貌を持っており、見る者によっては少年にも見えるミステリアスな男性だったのだ。ところが、弟子の裏切りでとある研究組織に捕らえられ、そこで施された人体実験により今の姿となってしまった。
異形の姿となってはしまった殺せんせーだが、3年E組の生徒たちとの出会いにより心は誰よりも「イケメン」なのである。
以上、人より整った顔を持ちながら、あえてそれを変えたり隠したりしているキャラを紹介した。彼らに共通して言えることは、その強靭な精神力。それは生まれ持った容姿という外面的な長所以外に、自分で作り上げた内面的長所でもあるのだ。そんな彼らだからこそ、美醜に左右されない強さが魅力となっているのかもしれない。