■「おしおしおーし」ストレートだけの一本勝負!天性のムービングボーラー
2006年から『週刊少年マガジン』で現在も連載が続く寺嶋裕二氏の本格派高校野球漫画『ダイヤのA』から、お調子者だけどやるときはやる主人公・沢村栄純。
沢村は無名の赤城中学野球部に所属をしていたが、ピッチャーとしての才能を見出され野球の名門青道高校からスカウトされた。最初は渋っていたものの、御幸一也との出会いをきっかけに青道への入学を決める。
入部当初の沢村はビッグマウスやその性格が災いし、チームメイトとの軋轢が生まれてしまう。エースを目指すと豪語するも、実はまともな指導を受けたことがなく変化球も投げられない。そのうえ、ストレート一本勝負と言うわりには投げるボールは時速130キロにも満たないのだ。
そんな沢村の武器となったのが、球が上下左右に動く天性の「ムーミングボーラー」と「左投げ」だった。また、チームメイトの降谷暁に対するライバル意識や、3年の滝川・クリス・優の指導によりフォームの改善などがおこなわれ、沢村は本物のエースを目指し歩み出す。
なお作者の寺嶋氏は野球経験があり、過去のインタビューによると左利き投手としてマウンドに上がっていたこともあったという。沢村栄純は作者のリアルな経験から生まれたキャラと言えるのではないだろうか。
■人事を尽くして天命を待つ!「キセキの世代」ナンバーワンシューター
最後に紹介するのは、『週刊少年ジャンプ』で2009年~2014年に連載された藤巻忠俊氏のバスケット漫画『黒子のバスケ』から緑間真太郎。
『黒バス』の愛称でファンから圧倒的な指示を受けていた本作において、緑間は常に上位にランキングされた人気キャラである。主人公・黒子テツヤなど6人とともに、帝光中学バスケ部時代には「キセキの時代」の呼ばれたナンバンワンシューターだ。
座右の銘に「人事を尽くして天命を待つ」を掲げる緑間は、朝のテレビ番組『おは朝』の星座占いを欠かさずチェックしラッキーアイテムを持ち歩くほどの“運命論者”である。ただし、彼のこの考えや言動には「万全を尽くせばおのずとそれに見合う結果が出る」というもの。占いの結果に従うが毎日の練習も当然のように怠らず、さらに日常においても利き手である左手の指にテーピングを巻いてガードするなど、まさに並はずれた人事を尽くす徹底ぶりである。
ここまでスポーツに有利な左利きキャラを紹介してきたが、利き腕に関して変わった経緯を持つキャラもいる。『巨人の星』の星飛雄馬は左投手として有名だが、本来の彼は右利きだったものを野球に有利だからと父・一徹により左利きに矯正されていた。そのため、左腕を壊し引退した後は右腕投手として復帰を果たした。
わずかな差で勝敗が決する世界だからこそ、左利きキャラはそれを武器にこれからも戦って欲しい。