■桜木花道&流川楓の渾身のハイタッチ

 湘北対山王工業戦ではもう1つ、言わずと知れた熱い名シーンがある。山王に何度も点差を離されては食らいつき、怒涛の追い上げを見せた湘北。ルーズボールを果敢に取りに行き、背中を負傷した桜木花道は、痛みをこらえてコートに戻る。

 花道は奇跡的なスーパープレイを連発し、ついに湘北は残り24秒で逆転。しかし、山王のエース沢北はすぐさまジャンプシュートを決め、再逆転を果たす。

 このとき、誰よりも早くゴールに向かって駆け出していたのが花道だ。残り時間わずかで、赤木のパスを受けた流川は強引にシュートを狙いに行くが、そのとき流川の目に飛びこんできたのは、「左手はそえるだけ…」と右斜め45度の位置でスタンバイしていた桜木花道の姿だった。

 流川が選んだのは、山王のメンバーが予想もしなかった花道へのパス。この流川からのパスを受けた花道は、お手本のようなジャンプシュートを決めた。

 それと同時に湘北の勝利を告げる試合終了の笛が鳴らされると、花道は神妙な表情のまま流川のもとへ歩み寄る。その瞬間、花道と流川は互いの右手を叩きつけるように、渾身のハイタッチをしたのである。

 花道は、流川を一歩的にライバル視するような関係で、ケンカの絶えない間柄。だがこの試合を通じて、二人は互いに認め合い、リスペクトすら感じるような場面も多々あった。それを象徴するような、歴史に残るハイタッチのシーンではないだろうか。


 バスケットボールは、原則的に試合中の体の触れ合いが禁じられているスポーツだ。それだけに選手が感情をあらわにしたときの熱いスキンシップシーンにグッとくるものがあるのかもしれない。今冬公開の新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』ではどんなドラマチックなシーンが待っているのか、今からワクワクしてしまう。

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