■もはや超常現象?「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」

 映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』に登場した、ユニコーンガンダム3号機フェネクスは、メカにあるまじき不可思議な現象を起こした機体だ。

 そもそもユニコーンガンダムシリーズ自体、とんでもない性能を秘めている。共通して全身にサイコフレームが組みこまれており、機体追従性が高いのが特徴。さらにニュータイプを倒すのに特化した、NT-D(ニュータイプデストロイヤー)というシステムも搭載されている。

 そんなユニコーンシリーズの中でも、際立って不思議な現象を起こしたのが、金色に輝く3号機のフェネクスである。テスト中の事故でフェネクスのパイロットは死亡。そのまま機体は暴走し、行方不明となる。

 そして再び現れたフェネクスは、もしパイロットが生存していたら到底耐えられるはずのない挙動を見せ、光速に近い速度で飛行。作中ではパイロットの魂がフェネクスに宿っていると説明されていたが、いくらサイコフレームを備えているとは言え、なんでもありである。

 それに機体が行方不明になっていた約1年半の間、フェネクスは無人のまま、無補給・無整備で飛び続けたことになる。フェネクスを目撃したあるパイロットは「あの青い光……スラスターの光じゃないですよ!」と驚愕した通り、通常の動力源ではなく、まったく別の未知なる力によって飛行していたのかもしれない……。

 あまりにも謎の多すぎるユニコーンガンダム3号機フェネクスだが、『閃光のハサウェイ』の10年以上も前に開発されている。もっと言うなら宇宙世紀の最後の物語『機動戦士Vガンダム』の機体などと比較しても明らかに異様だ。

 ユニコーンガンダムの系譜はメカとしてのレベルを超えた描写が多く、別の意味で“テクノロジーを超越した存在”と言えるのかもしれない。


 ガンダムシリーズでも随一の派生作品の多さを誇る「宇宙世紀」の作品には、今回紹介した以外にもオーバーテクノロジーと思えるような機体がチラホラ見受けられた。その多くの機体がいずれも十分に活躍できなかったところを見ると、戦争というのは個の力だけでは勝てないということなのだろう。

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