主に宇宙世紀のガンダム作品に登場する「ニュータイプ」という概念。作中では宇宙での暮らしに適応し、特別な能力を開花させた人間のことを指している。具体的には普通の人よりも直観力や洞察力に優れ、離れていてもテレパシーのような力で意思疎通を図る場面も描かれていた。
作品ごとにニュータイプの定義は多少異なるが、普通の人にはない能力を持つ“特殊な存在”であることは一貫している。
だが、実は『ガンダム』シリーズにはニュータイプ以外にも、さまざまな特殊能力が登場することをご存知だろうか。今回はそんな「ニュータイプ」に似た能力を持つ“特殊な存在”について紹介していこう。
■進化ではなく退化? 戦闘に特化した「Xラウンダー」
「Xラウンダー」とは『機動戦士ガンダムAGE』に登場する能力者たちを指す言葉だ。彼らは脳の「X領域」と呼ばれる通常は使われない領域を解放し、テレパシーや先読みといった特殊能力を得ている。
作中では、火星から地球という超長距離で意思の疎通を図り、戦闘中に相手の動きを読むという「ニュータイプ」的な能力を発揮。また遠隔操作兵器の操縦も、彼らの特殊な能力のなせる技だ。
そんな戦闘に特化した能力を持つXラウンダーだが、非Xラウンダーに撃墜される場面も散見。ニュータイプほど一般人パイロットとの差は大きくないようである。
このようにXラウンダーはニュータイプに酷似した特徴を持っているが、作品内での扱いは大きく異なる。宇宙世紀におけるニュータイプは、人類の新たな可能性として肯定されていたが、Xラウンダーはそうではない。
戦闘に特化したその力を、ヴェイガンの最高指導者であるイゼルカントは「人から獣へと退化している」と評した。基本的にガンダムシリーズでは、特殊な能力を持つ存在は優れた人類と扱われるケースが多いため、これは新鮮な解釈だ。
作中では「Xラウンダー適性試験」なるものが登場し、あくまで戦闘能力の一つの指標として扱われていることがうかがえる。
宇宙世紀におけるニュータイプのように「人類皆がXラウンダーになれば平和に……」などといった論争も起きないあたり、『機動戦士ガンダムAGE』においては、パイロット適正の高さ以上の価値はないのかもしれない。