筋肉が骨を粉砕、致死量のドーピング…「筋肉を考える日」に振り返る、漫画の中の驚異的「マッチョキャラ」3人の“規格外の筋肉”の画像
『ケンガンアシュラ』(小学館)第1巻・書影より

 7月29日金曜日は「筋肉を考える日」。「金(筋)曜日+29(肉)日」の語呂合わせで、プロテインバーやゼリーなどを製造・販売している森永製菓が2017年に制定した記念日だ。

 最近では「貯筋」などの言葉も生まれるなど、年配の方や女性の健康維持にも不可欠とされている筋肉だが、やはりムキムキマッチョな男性のイメージが強いだろう。特に少年漫画においては、『北斗の拳』や『魁!!男塾』など筋肉隆々な漢たちが大勢登場し互いを磨いている。2023年にアニメ化が決まった『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画『マッシュル-MASHLE-』は魔法世界を舞台とした作品ではあるが、主人公のマッシュルは全ての困難を魔法ではなく自分の鍛え上げた筋肉だけで解決しているのだ。

 また、『グラップラー刃牙』の「地上最強の生物」こと範馬勇次郎は本気を出すと背中の筋肉が鬼の形相に盛り上がり、『HUNTER×HUNTER』のゴンはカイトを殺された怒りで天をつくよう上へと髪が伸びてマッチョになった。つまり、物言わぬはずの筋肉が、意外なほどキャラの心情や作中演出を担っていたのである。

 そこで今回は「筋肉を考える日」にちなみ、漫画作品を大いに盛り上げたッチョキャラたちによる規格外の「驚異的筋肉」を振り返りたい。

■「モンガモンガー」桃色筋肉を持つ桃太郎の子孫モモタロウ

 最初に紹介するのは、1987年から約2年に渡り『週刊少年ジャンプ』に掲載されていた、にわのまこと氏によるプロレス漫画『THE MOMOTAROH』からモモタロウ。本作は日本のおとぎ話をモチーフとした登場人物が、プロレスラーとしてリングで戦う格闘ギャグ漫画だ。

 作中では「桃太郎の子孫」を自称する主人公・モモタロウを中心に、“キンちゃん”ことイケメンなライバルキャラのキンタロウや「一寸法師」の子孫でありながら身長2メートル越えの七尺兄弟、牛馬鹿丸やカグヤ・ザ・ムーンバトラーといった魅力的なキャラが数多く登場した。また、本作一番のギャグであり、モモタロウのもう一つの姿「もんがー」の印象が強い読者も多いのではないだろうか。

「モモスペシャル」と呼ばれる5つのスペシャル技を持つモモタロウ。彼の強さの核となるタフネスさは、その筋肉に秘密があった。普通の人間は「赤筋(遅筋)」と「白筋(速筋)」と呼ばれる2種類の筋繊維でできており、前者が多い人は持久力に、後者は瞬発力にすぐれている。魚では赤身を持つ回遊魚のマグロ、白身ならタイやヒラメなどがそれにあたるだろう。

 ところが、モモタロウはその「ふたつの特性」を最大限に活かせる筋肉、長時間戦っても瞬発力がおとろえず、ダメージを受けても回復力がはやい、幻の“第三の筋肉繊維”「桃色筋肉」の持ち主だったのである。

 最近ではテレビの情報番組などでも「桃色筋肉」が取り上げられ、格闘以外に健康面を考えてみても、私たちに必要な筋肉のようだ。

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