“修行”の要素は少年漫画につき物である。登場人物たちは師匠に稽古をつけてもらい、仲間たちと切磋琢磨し、ときに悩みながらどんどん強くなっていく。その過程が具体的に描かれるかどうかは作品によりけりだが、努力ないところに成果は生まれないというのは、基本的に現実でもフィクションでも同じだ。
そこで今回は、少年漫画に登場する修行シーンのなかから、特に筆者がワクワクしたものを紹介していく。前向きな気分になりたいときはぜひチェックしてみてほしい。
■水風船からゴムボールへ
ワクワクする修行と言われて1番に思い浮かぶのが、岸本斉史氏の漫画『NARUTO-ナルト-』で主人公・ナルトが螺旋丸を習得するため修行を積むシーン。螺旋丸は手のひらで乱回転・圧縮させたチャクラを敵にぶつけるというもので、“A級高等忍術”に指定されるほど習得が難しい。当然、修行も一筋縄ではいかなかった。
この修行には大きく分けて3つの段階があり、まずはチャクラコントロールだけで水風船を割ることから開始。これが終わると次は割る対象がゴムボールに。そして最終的に、水風船とゴムボールを割ったときの感覚を活かし、実際に螺旋丸を作っていくことになる。チャクラコントロールが苦手だったナルトは、はじめかなり苦労させられるものの、努力と試行錯誤の結果、この難しい忍術を習得するに至った。
水風船やゴムボールといった身近なアイテムが使われているため、当時真似して“修行”をしてみた読者も多いのではないだろうか。大技習得のためのプロセスが具体的に描かれているのも、想像力を刺激されてワクワクする。またナルトが修行に励む一方、同時進行で本編が進められていくのにも、読者を飽きさせない工夫が感じられる。