■地味だけど決めるときは決める男・新八の名言
最後に紹介するのは、銀時の弟分である志村新八の口から飛び出した名言。ふだん「地味」だの「ダメガネ」だの散々な言われようだが、彼もまた武士道精神を重んじる侍であり、仲間のために体を張れるカッコイイ男である。
かぶき町四天王篇では、彼の言葉が銀時の心を動かす感動的なシーンがあった。このエピソードで銀時は、母親的存在であるお登勢が敵に重傷を負わされ、心が折れかけてしまう。そして何より大事にしていたはずの居場所・万事屋を解散し、仲間を置いて自分だけで戦うことにする。
新八と神楽は彼とともに戦おうとするが、銀時の意思はそれでも揺らがない。神楽が涙ながらに「銀ちゃんがいなくなったら生きてたって何にも楽しくなんかないアル!!」とぶつけるが、それでも銀時は生きてくれていれば良いと返す。もうこれ以上、誰も傷ついてほしくないという彼の意思は固かった。
何があっても銀時の決断は変わらないように見えたが、新八はそんな彼を渾身の力で殴り飛ばし、「アンタ それでも坂田銀時かよ」と叫ぶ。さらに万事屋と銀時に対する想いをぶつけ、「一旦護ると決めたものは絶対護り通す それが坂田銀時じゃないのかよ」「僕らは死なない!! アンタは死なない!! 何故ならアンタが僕達を護ってくれるから!! 何故なら僕らが絶対アンタを護るからだ!!」「それが万事屋じゃないんですか そうやって僕ら三人…今まで…色んなもの護ってきたんじゃないんですか」と続けた。
新八の重い一撃と言葉のおかげで、銀時は再び“仲間とともに”立ち上がることを決意する。初期の頃は銀時の背中を追いかけるだけだった新八と神楽。彼らがいつの間にか、銀時と対等な存在に成長していたことがひしひしと伝わってくるシーンだった。
ギャグはもちろん、シリアスな部分も魅力的な『銀魂』。自分の生き方を貫くキャラクターたちの言葉はどれも重みがあり、読み手の心をとらえて離さない。今回紹介した以外にも数多くの名言が存在するので、注目しながら読み返してみるのもおもしろい。