■激痛をこらえて勝手に選手交代を宣言
インターハイの山王工業戦で、花道が見せたもうひとつの信じられない行動を紹介したい。後半残り2分で8点差まで迫っていた湘北。小さなミスが命取りになる緊迫した状況下で、山王キャプテン深津が宮城のドリブルをカット。宮城のひざに当たったボールがコート外に向かって転がる中、疲労困憊の三井に「どけミッチー!!」と叫んだ桜木は、なりふり構わず来賓席の机に頭から突っ込み、ルーズボールをコートに押し戻した。
このビッグプレーで背中を負傷した花道は、痛みを隠しながらコートに戻るも、残り時間わずかなところで痛みに耐えきれず、ついに崩れ落ちて交代を余儀なくされる。
今後の選手生命にかかわるようなケガの恐れもあり、立っているのもやっとの状態だったが、花道はフラフラと歩いて行き、自ら「交代ヨロシク!!」と勝手に宣言してコートに戻ろうとした。
なんとか安西先生がその交代を取り消したが、花道は今こそが自分の栄光の時代だと譲らない。「やっと……ダンコたる決意ってのができたよ」という花道の覚悟の言葉を聞いた安西先生は、彼が試合に戻るのをそれ以上止めなかった。
激痛をこらえながらも「優勝すんだろゴリ!!」「通過点じゃねーかよ あいつらなんか!!」という花道の檄に、湘北メンバーたちは一致団結。奇跡の大逆転に運命が傾くのだった。
まともに立つのもつらそうな中、監督の指示を聞かずに自ら交代を申し出るという行動に出た花道。こんなムチャなことは絶対真似できそうにないが、こうした豪胆なふるまいに憧れを抱いてしまうのも事実だ。
12月3日公開の新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』では、これまでアニメ化されていないインターハイの山王戦が描かれるのかなど、期待をこめたさまざまな憶測も飛び交っている。どの試合が描かれるにせよ、スクリーンでもきっと花道はありえない言動で私たちを感動させてくれるに違いない。