90年代に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、少年少女たちの心を熱くさせた井上雄彦氏の『SLAM DUNK(スラムダンク)』。連載終了から約26年の時を経て、今年の12月3日に新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開されることが発表。同映画の公式ツイッターのフォロワー数は早くも40万を超えるなど、令和の今でも愛されている注目作品だ。
そんな『スラムダンク』の主人公・桜木花道と言えば、ありえないほどのハチャメチャな言動を見せることでも知られる。常識では考えられない彼の行動にワクワクさせられ、憧れたファンも少なくないだろう。そこで今回は、ピンチのときに湘北メンバーを奮起させた、花道の“突拍子もない行動”の数々をご紹介したい。
■試合中の主将・赤木剛憲に対する「まさかの頭突き」
花道の破天荒なふるまいの一番の被害者でありながら、恩恵も受けているのが湘北のキャプテン赤木剛憲ではないだろうか。2学年も先輩で、バスケ部の主将である赤木のことを“ゴリ”と呼び、日頃からタメ口の花道。無礼な態度は否めないが、花道の言動が赤木のピンチを救う場面は作中で多く見られた。
とくに印象的だったのが、インターハイ出場の最後の切符をかけた「湘北対陵南」の試合だ。前の海南大附属戦で足首を負傷した赤木。その足の具合が陵南戦の途中で気になりだし、プレイに集中できなくなる。その上「この足で魚住に勝てるのか?」と、赤木は自信まで失いかけていた。
あまりにも精彩を欠く赤木の様子に気づいた三井はタイムアウトを要求する。開始早々から陵南に9点もリードを許し、周囲のメンバーが心配するほどの不調を自覚していた赤木は、自分の顔面を張って気合を入れ直すが、その赤木の前にそっと近づいたのが花道である。
すると花道は、会場に鈍い音が響きわたるほど強烈な頭突きを赤木に見舞い、「目ェ覚めただろうゴリ?」と言い放つ。この花道の突拍子もない行動に、赤木は「バカタレが!!」とゲンコツを食らわすが、これをきっかけにふだんの調子を取り戻すことに成功。豪快なゴリラダンクを決めるなど、全国大会出場を決める勝利に貢献した。
本来であれば1年生が3年生の先輩に容赦なく頭突きするなど言語道断なのだが、この花道の行動が、集中力散漫だった赤木を救い、湘北に勝利をもたらしたと言えなくもない。まさに花道の野生の本能のようなものを感じた瞬間だった。