少年漫画を開くと、主人公の隣りにはいつでも魅力的なヒロインがいた。クラスメイト、幼なじみ、学園のアイドル、生徒会長、はたまた敵サイドの幹部など、彼女たちの肩書はさまざまだ。主人公が最後に本命ヒロインとのハッピーエンドを迎えると思いきや、物語ラストで意外な女性と結ばれるという展開も珍しくなかったりする。
たとえば、1980年代を代表するロボットアニメ『超時空要塞マクロス』で主人公の一条輝が選んだ相手は、彼が最初に思いを寄せていたリン・ミンメイではなく早瀬未沙であった。キービジュアルを華々しく飾っていたミンメイは主人公と結ばれることはなかったのだ。
『週刊少年ジャンプ』においても『地獄先生ぬ~べ~』の鵺野とゆきめ、『いちご100%』の真中と西野、『ニセコイ』の楽と千棘のように、主人公が最初に好意を寄せていたヒロインとは違う相手と結ばれる展開はいくつもあった。そしてそれはラブコメ作品だけではなく、同誌を代表するバトル漫画においても例外ではなかった。
※以下には、コミック『NERUTO-ナルト-』『BLEACH』『ドラゴンボール』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。
■初恋は実るものだった?ナルトはヒナタを選んで物語は次世代に
1999年から2014年にかけて連載された岸本斉史氏による忍者漫画『NARUTO-ナルト-』もそうだった。同作は、その身に九尾を封印された少年・うずまきナルトが、仲間とともに強敵を倒しながら成長する物語だ。
そんなナルトは幼年期からヒロインである春野サクラが好きだと公言しているが、とうのサクラはうちはサスケに好意を寄せていた。その後、はたけカカシ率いる第7班に配属されてナルトの成長に一目置くようになったサクラだったが、彼女のサスケに対する思いは変わらないまま。
しかし、そんなナルトを憧れのまなざしで見つめ続けた“影のヒロイン”がいた。木ノ葉の名門一族の娘・日向ヒナタである。彼女は幼い頃よりナルトに想い寄せており、彼の「まっすぐ自分の言葉は曲げねェ…」を自分の“忍道”にするほど大きな影響を受けていた。そして戦いの場で内気な少女が告白をするまでに至るのだ。
アニメ最終回ではヒナタとナルトは結婚式を挙げ、2人の息子が活躍する『BORUTO-ボルト-』へと物語は継承されていく。ナルトの初恋は実りはしなかったが、ヒナタの初恋が実った形となった。一方のサクラもサスケと結ばれ一人娘のサラダをもうけており、さまざまな問題を抱えながらも双方幸福な家庭を築いているようだ。