■強い信頼関係で結ばれた上官と部下「マスタング大佐とハボック」

 マスタングといえば、ホークアイとの名コンビが知られているが、ほかの部下にも注目したいところ。とくにジャン・ハボックとの組み合わせはなかなかに魅力的だ。

 ノリが軽くムードメーカー的なタイプのハボックは、上官であるマスタング相手に軽口を叩くこともしばしば。しかし彼の銃の腕や戦闘能力は確かなもので、突入や警護、陽動などを任されることが多い。マスタングの信頼も厚く、一緒に行動する際は息ぴったりの動きをみせていた。

 そんなハボックだが、「色欲」を司るホムンクルス・ラストとの戦いで脊髄を損傷。その大ケガで退役を決断せざるを得なくなった。両足の感覚を失ったための苦渋の決断ではあったが、マスタングはどうしても大切な部下のことを諦めきれない。そして軍人の道を断念しようとした彼に対し、「置いて行くから追いついて来い」「私は先に行く 上で待っているぞ」という言葉を投げかけた。

 この時点では、上半身を起こすことすらままならなかったハボック。マスタングの力になるためには、想像を絶するきついリハビリが必要不可欠。それを踏まえた上での厳しすぎる叱咤激励であり、失意のどん底にいる相手にとってはなかなかのスパルタ発言ではあるが、それもハボックのことを信頼し、愛するがゆえの言葉に感じられた。

 ハボックはこのマスタングの言葉を受け、再び彼らの支援を行うシーンが登場。軍に戻るべく、必死にリハビリを行っている描写もあった。上官と部下という立場を超え、強い信頼関係で結ばれていることがよく分かる名コンビだ。

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