『SPY×FAMILY』『東京リベンジャーズ』Official髭男dismはなぜアニメにハマるのか、作品世界を表現する歌詞とメロディの妙の画像
『SPY×FAMILY』(C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 6月25日、好評のまま1クール目の最終回を迎えたテレビアニメ『SPY×FAMILY』。同作はアプリ『ジャンプ+』で連載中の遠藤達哉氏による漫画を原作としたもので、コミックス累計発行部数は6月時点で2100万部を突破。『ジャンプ+』初のヒット作として長らく人気であったが、アニメ化を機にさらに多くの人に知られ、そして愛される作品になったようだ。

 そのアニメの人気に一役買ったのが、Official髭男dismによるOP主題歌「ミックスナッツ」だろう。同曲は物語の世界観を明るくポップに彩っており、4月からYouTubeで公開となった同番組のOP映像は現在1000万回を超える再生回数を記録している。

 2018年のメジャーデビュー以降、多くのアニメ作品で主題歌を手がけてきたOfficial髭男dismだが、その歌詞や曲構成が毎回話題を集める。過去に作られたアニメでは、作品内容とはあまり関係がないように思える楽曲が起用されるケースも少なくなかったが、ネットではヒゲダンによる新曲が毎回「作品の世界観を反映させている」「作品への理解度が高い」と高く評価されているのだ。

■「かりそめの家族」を「ミックスナッツの中の豆」で表現した歌詞

『SPY×FAMILY』はスパイである主人公のロイド・フォージャーが、殺し屋のヨルを妻に、超能力者のアーニャを娘に迎え、3人で「かりそめの家族」として日々の生活を送るホームコメディだ。

 主題歌である「ミックスナッツ」は、アーニャの好物でもあるピーナッツを題材にしたもので、ミックスナッツの中でアーモンドなどの他の木の実とは違って、唯一地面の中で育つ「豆」であるピーナッツを、世間にまぎれて偽装の家族を演じるロイドたちの姿に重ねた楽曲。6月23日に放送されたNHK『SONGS』では、レコーディング中にミックスナッツをつまみながら思いついたという歌詞着想の裏話が語られていた。

 曲全体としてはフリージャズ調のイントロからメロディアスなポップスへと移り変わっていく非常にスピーディーな楽曲。周囲とは異質なものでありながら、ミックスナッツという世間に必死に溶け込もうとする「ピーナッツ」はまさにフォージャー家の3人そのもので、ヨルとアーニャを思うロイドの気持ちとしか思えないほど、世界観を反映させた作りになっているのだ。

 もちろんアニメを知らなくとも、世間になじめない生き方を肯定してくれるような歌詞は、現代社会を生きる我々に共感できるものになっているのではないだろうか。ちなみに本家のミュージックビデオでは親子3人がホテルに迷い込み、そこで家族がバラバラになりながらも、お互いを探そうとホテル内を探索するPVとなっている。

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