■悟飯をあの世から励ました悟空との「親子かめはめ波」

 超サイヤ人を超える存在「超サイヤ人2」に覚醒した悟飯は、セルを圧倒。しかし、そこで調子に乗ってしまった悟飯は、すぐにトドメを刺せという父・悟空の言葉を守らず、そのせいでセルに自爆をする猶予を与えてしまう。

 そしてセルが地球もろとも自爆しようとした間際、悟空は瞬間移動で界王星に飛び、そこでセルを自爆させた。これで悟空は死んでしまう(ついでに界王様やバブルスくんも…)のだが、残念なことにセルはまだ生きていた。

 しかも、一度死にかけたせいで大幅にパワーアップを果たしたセル。超特大のかめはめ波で地球ごと消し去ろうとする中、悟飯は抵抗することを諦めていた。

 そのとき、界王様の力を借りた悟空の声が聞こえてくる。「おい、こら!! あきらめるなんてねえだろ悟飯!」「かめはめ波をぶちかましてやれ!!」「だいじょうぶ勝てる!! 自分の力を信じろ!!」。結果的に悟飯の油断もあって命を落としたが、悟空はあの世から懸命に我が子への叱咤激励を続ける。

 その父の優しくも力強い声に奮起した悟飯は、セルと同じくかめはめ波で対抗した。互いのかめはめ波が激突したが、悟飯はセルのパワーに押されてしまう。すると悟空は「こらえろ!!! こらえるんだ悟飯」「まだおめえは力の全部を出しきってねえぞ!!!」と励ました。

 そしてベジータの不意打ちでセルの意識が逸れた瞬間、悟空の「いまだ――っ」の声で、力を振り絞ったかめはめ波がセルを飲みこみ、悟飯は勝利をおさめたのである。

 このシーン、かめはめ波を放つ悟飯の背後には、悟空も一緒にかめはめ波を撃っているような姿が描かれていた。二人でセルを撃破した、一連のかめはめ波の描写からは深い父子愛が感じられる、『ドラゴンボール』でも屈指の名シーンと言えるだろう。


 戦闘好きで家庭を顧みず、死ぬときも突然……なんて言われがちなサイヤ人の夫たち。それでも家族に対する愛情をしっかり持ち合わせていたからこそ、子どもからは慕われ、しっかりと尊敬されていたに違いない。

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