1989年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた三条陸氏・稲田浩司氏による『DRAGONQUEST-ダイの大冒険-』。小さな勇者・ダイが仲間たちと力を合わせて強大な敵を倒し、ともに成長する姿が描かれた名作で、2020年から放送されているアニメは「最終決戦」編に突入。心強い助っ人の登場などで盛り上がりを見せている。
そんな『ダイの大冒険』の魅力は、メインキャラはもちろん一見モブで終わりそうな登場人物たちでさえ丁寧に描かれていることだろう。迷惑かけ通しだったキャラが驚くほどの成長を見せるという展開も多く、彼らが「勇気を持って立ち上がる」そうしたシーンこそ同作の感涙ポイントだったりもする。そこで今回は、『ダイの大冒険』に登場したキャラ3人にスポットを当て、彼らの活躍を振り返ってみたい。
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以下には、コミック『ダイの大冒険』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。
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■ビッグマウスのお調子者でも器のデカさは折り紙つき!
まず最初に紹介したいのは「空手ねずみ」のチウ。武術の神と称される拳聖ブロキーナに師事し、武闘家を目指すマァムとは兄弟弟子にあたる。大口をたたき、弱そうに見えるポップと屈強なクロコダインとではコロリと態度を変えるお調子者だ。
しかし、チウは意外にも“できる奴”なのだ。もともとは悪さをしていたモンスターだったが、ブロキーナのもとで修行を重ねたことで魔王の邪悪な意思を跳ね返せるようになった。結界から出たブラスでさえ凶暴化してダイを襲ってしまったのだから、修行の成果とは言えチウの精神力は大したものである。加えて言葉を勉強したチウは嫌みやムダ口をたたけるほどスラスラ話せ、モンスターとの意思疎通の役割も果たした。意外と有能なねずみなのだ。
そんなチウだが、特筆すべきは仲間思いな性格だろう。超魔生物となったザムザに襲われた際には一歩も引かず「仲間を見捨てて逃げちまうようなヤツは最低のクズだっ!!!」と言い切った。死の大地でフェンブレンに襲われた場面でも、獣王遊撃隊を守るため誰よりもボロボロになっている。フェンブレンに切り刻まれながら「隊長は部下を必死で守るものなのだあぁっ!!!!」と、ゴメちゃんをかばうチウの勇気に感動した読者は多いはず。
実力的にはまだまだながらも、器の大きさはクロコダインからも一目置かれているチウ。次代の獣王候補を見守りたい。