冨樫義博作品の『HUNTER×HUNTER』『幽遊白書』など、敵・味方関係なく「今だからこそ共感できる大人の言葉」4選の画像
冨樫義博作品の『HUNTER×HUNTER』『幽遊白書』など、敵・味方関係なく「今だからこそ共感できる大人の言葉」4選の画像

 2022年5月、突如ツイッターを開設して大きな話題を呼んだ人気漫画家の冨樫義博氏。現在休載中の『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』のネームらしき画像を公開しており、もしかすると連載再開の日が近づいているのかもしれない。

 そんな冨樫氏の作品の数々はアニメ化もされていて、『週刊少年ジャンプ』(集英社)を代表する作品のひとつと言える。子どもの頃にハマった作品を大人になってから読み返すと、当時とは異なる印象を受けることがあり、冨樫氏の『幽遊白書』や『ハンター×ハンター』も例外ではない。

 そこで今回は、富樫氏を代表するこの2作品から、個人的に月日が経ってからその魅力が理解できるようになった大人キャラたちの言葉をご紹介したい。

 

※以下には、コミック『幽遊白書』『HUNTER×HUNTER』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。

 

■何年経っても変わらない信念

 まずは『幽遊白書』の主人公・浦飯幽助の師匠である幻海から。年齢は70歳前後の達人で、人間界では5本の指に入る霊能力者である。連載当時は毒舌で厳しい師匠という印象だったが、今あらためて読むと、加齢による衰えなどを自然体で受け入れる姿勢に人間的魅力を感じてしまう。

 たとえば若かりし頃の戸愚呂弟が、やがて訪れる年齢的な衰えに恐怖を感じ、「人間とは不便なものだな」とつぶやいたことに対し、幻海は「あんたが年をとればあたしも年をとる」「それでいいじゃないか」と返す場面がある。

 何も強さだけに限らず、女性であれば肌の衰えなども危惧しそうなもの。この当時の幻海は、敵すら一目惚れされるレベルの美貌の持ち主だったが意にも介さない。重要なのは、外見ではなく中身だと言っているようにも聞こえた。

 また幻海は、死々若丸に対し「あんたはあたしを正義といったがそんなつもりは全くないよ」「たまたま嫌いな奴に悪党が多いだけの話しさ」という発言もしている。これは「正義」や「悪」といった一般的な価値観にとらわれず、自分なりの判断基準で物事を決めているということにほかならない。

 こうした幻海の生き様や人間性の素晴らしさは、子どもの頃はなかなか気づけない部分だった。

■何もかも受け入れたパートナーとの絆

 次に紹介するのは『幽遊白書』に登場する敵の妖怪、樹。彼は元霊界探偵の仙水忍のパートナーとして魔界と人間界をつなぐ穴を作ろうとするなど、初見から「やべー奴」という印象だった。

 しかし、今あらためて読み返すと彼は非常に愛情深い男性ということが分かる。それは桑原和真から仙水のどこを気に入っているのかと理由を問われたときの回答にもにじみ出ていた。

 樹は、「全てさ」「彼の強さも弱さも純粋さ醜さ哀しさ全て」「あいつの人間臭さ全てに魅かれていった」と答えている。

 ここまで相手のすべてを受け入れ、自身の悲願を成し遂げるために献身的にサポートしてくれるパートナーはそうはいない。さらに幽助に敗れた仙水の命が尽きたあとは「死んでも霊界には行きたくない」という彼の遺言に従い、樹は仙水の遺体とともに亜空間へと消えていった。

 最期までパートナーの言葉を尊重し、肯定してくれる存在は貴重だし、樹というキャラクターの見方が大きく変わったシーンでもある。

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