ヒット漫画は1話が肝心?『鬼滅の刃』に『名探偵コナン』も、漫画史に残る衝撃的な幕開けをした名作たちの画像
ヒット漫画は1話が肝心?『鬼滅の刃』に『名探偵コナン』も、漫画史に残る衝撃的な幕開けをした名作たちの画像

 週刊連載の漫画は読者からの評価の影響が大きく、たとえば『週刊少年ジャンプ』に掲載される漫画は先にどのような展開が予定されていたとしても、アンケートの結果によって途中で打ち切られてしまうというパターンが少なくない。

 それは物語が始まる第1話も同じこと。連載第1回でその漫画がどういった物語かを伝える必要があり、そのため漫画の第1話は、衝撃的な幕開けをするものが多くなる。今回は漫画史上衝撃すぎる幕開けをした名作を、いくつかピックアップして振り返りたい。

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 以下には『鬼滅の刃』『あずみ』『名探偵コナン』『ダンダダン』の一部内容が含まれています。漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。

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■主人公の絶望を見せた『鬼滅の刃』

 まずは、2020年に公開された映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が日本の歴代興行収入の記録を塗り替え社会現象にもなった、吾峠呼世晴氏の漫画『鬼滅の刃』。子どもにも人気の作品だが、その第1話の内容はあまりに凄惨なものだった。

 それは、家族が豊かに正月を過ごせるように町まで炭を売りに行っていた心優しき少年・竈門炭治郎の家族の身に降りかかる。町まで降りていた炭治郎が近所のおじいさんに帰宅を止められ翌日家に帰ると、母親と4人の弟妹は何者かによって無残にも惨殺されていた。家の壁やふすまにまで血がべっとりとついており、中には目を開けたまま折り重なるように死んでいた愛する家族たち。あまりに突然の出来事に炭治郎も顔面蒼白になるばかりだった。

 その後炭治郎は唯一まだ息のあった妹の禰豆子を背負い医者を探すが、その禰豆子は鬼になっており、炭治郎に牙を向けてしまう。そこに冨岡義勇が現れ……と情報量が多くスピーディーに話が進んでいくのが『鬼滅の刃』第1話だった。

 家族のあたたかい幸せを描きながらも直後にどん底に突き落とすような展開は、トラウマ必至といって差し支えないが、連載第1話にしてこれほどまでの要素を詰め込んだ吾峠氏。この「濃密さ」こそが『鬼滅の刃』の作風とも言えるのではないだろうか。

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