2022年の秋にアニメ映画化されることが決定し、盛り上がりを見せる井上雄彦のバスケ漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』。90年代に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、空前のバスケットブームを巻き起こした言わずと知れた名作だ。
主人公である不良少年の桜木花道は、監督や先輩にも平気でタメ口を叩き、その破天荒な言動にヒヤヒヤさせられた人も少なくないだろう。しかし、どんなに生意気な態度を見せても、なぜか周囲から愛されているのが花道の魅力でもある。
そこで今回は『SLAM DUNK』の作中で花道が見せた、後輩としての愛され言動をピックアップしてご紹介したい。
■「ゴール下のキングコング・弟」
インターハイへの切符をかけた神奈川県予選。ベスト4まで進出した桜木花道のいる「湘北」は、過去16年間インターハイ出場を逃したことのない神奈川の王者「海南大附属」に挑むことに。
湘北のキャプテン赤木剛憲は、この試合に特別な思いを抱いていた。赤木は一年の時からずっと、毎晩寝る前にインターハイ出場をかけて海南と戦うところを思い描いてきていたのだ。
3年目にして初めて手にした王者・海南への挑戦権。しかし前半残り5分、そんな赤木にまさかのアクシデントが襲いかかる。リバウンド後の着地の際に接触があり、左足首を負傷。あのタフな赤木がコート上に倒れこんだ。
控室に引き上げた赤木は、負傷箇所をテーピングでガチガチに固め、なんとかコートに戻ろうとする。「なぜ今…!!」「骨が折れてもいい…歩けなくなってもいい…!!」「やっとつかんだチャンスなんだ…!!」。そんな赤木の悲痛な言葉を控室の外で聞いていた花道は、大声で「打倒海南!!」と叫び、コートに戻っていく。
この試合にかける赤木の想いを受け取った花道は「ゴリ(赤木)の穴はオレが埋める」と奮起。「くらえ、ゴリ直伝ハエたたき!!」「ゴール下のキングコング・弟!!」「ウホッ!!」など、赤木をほうふつとさせるパワフルプレイや口ぐせまで真似してハッスルプレイを連発した。
そんな花道の活躍や言葉を妹の晴子から伝えられた赤木。治療をしてもらっていた彩子に「キングコング・弟だなんて…」「かわいい奴ね、先輩」と声をかけられると、赤木は「フン……」とぶっきらぼうに返答していた。
この場面、赤木の表情の描写はなかったが、おそらく後輩・花道の頼もしさに満足しながらも照れくさそうにしていたのではないだろうか……。