■「ゴリ! まだいけるよな!」
時はインターハイ2回戦。『SLAM DUNK』最大の大一番ともいえる「山王工業」対「湘北」の試合。日本高校バスケ界の絶対王者・山王に果敢に立ち向かう湘北は、何度も点差を離されるが、そのたびに食らいつき絶体絶命の危機を凌いでいた。
後半残り時間は3分を切り、66対74と湘北はなおも8点差を追いかける厳しい状況。流川と沢北による激しいエース対決が行われる中、花道は流川が沢北に抜かれることを予測し、こっそり赤木と策を練る。そして、これが見事にハマり、花道と赤木は二人がかりで沢北のシュートを阻むことに成功した。
8点差が縮まったワケではないが、このとき花道は「ゴリ!」「まだいけるよな!!」「追いつけるだろ!!」と問いかけてくる。その花道の言葉は、赤木自身がかつてのチームメイトに何度もかけてきた言葉だった。しかし、勝利への想いを当時の仲間とは共有できず、失望してきた経験がある。
それを思い出した赤木は、純粋な気持ちで勝ちに執着し、自分に尋ねてきた後輩・花道の健気な姿勢にハッとさせられ、「ああ!!」「まだいけるぞ!!」と誇らしげにほほ笑んで、勇気づけるのだった。
どんなに生意気でタメ口で話しかけようとも、桜木花道の言動の根底には、先輩に対する尊敬や敬愛の念が感じられる。ふだんはおちゃらけながら、大事な場面ではしっかり頼りにするところなどは、可愛がられる後輩に欠かせない要素なのかもしれない。現実世界に桜木花道のような後輩がいたら(カンチョーや頭突きをされるのは嫌だが)、やはり先輩から愛されるのではないだろうか。