■亡き妻と子への想い…男の中の男が胸に秘めた悲しき過去
王下七武海のドフラミンゴ率いるドンキホーテ海賊団の幹部の一人、セニョール・ピンク。サングラスに渋い声、ダンディさのあふれる性格で、誰もが認める男の中の男である。
ただし彼が身につけているファッションは、なんと“赤ちゃん”そのもの。頭には赤ちゃんがつけるボンネット帽、口にはおしゃぶりをくわえ、ズボンではなくオムツ風のパンツをはいている。しかし、彼のこの奇抜すぎる姿には、ある想いが秘められていた。
セニョールが若かりし頃、ルシアンという名の女性と出会って結婚。息子も生まれて幸せな生活を送っていた。しかし彼女は大の海賊嫌いだったため、セニョールは海賊であることを隠し、銀行員だと偽っていた。
そんなある日、出張と告げて一週間ほど家を空けてから帰宅すると、息子が高熱で亡くなったことを聞かされる。しかも銀行員というウソがバレてしまい、彼女から激しく罵倒されるセニョール。大雨の中、外へ飛び出した妻・ルシアンは、そのまま土砂崩れに巻き込まれて植物状態になってしまう。
激しい後悔と罪悪感に苦しむセニョールが、ふと息子のボンネット帽を見つけてかぶってみると、これまで何の反応も示すことのなかったルシアンにうっすらと笑顔が。その日からセニョールはスーツを脱ぎ捨て、どんなにバカにされようとも亡き息子のごとく赤ん坊の恰好をするようになる。
セニョールの「おれにとっては……どんな高価なスーツより値打ちがあるんだよルシアン」「この服を着ている間だけ…君が微笑んでくれるから……!!」という切実な言葉に泣かされた人は多いのではないだろうか。
その後、妻が亡くなってからも最愛の家族を失った悲しみ、そして後悔を忘れることなく、赤ん坊スタイルを貫き通すセニョールの想いに感動させられた。