■遠く離れた場所で苦しむルフィを想い涙する、親代わりの女性のひと言

 マリンフォードで起きた“白ヒゲ”ことエドワード・ニューゲートと海軍の全面戦争で、ルフィは義兄のポートガス・D・エースを失ってしまう。その場にはルフィの祖父で海軍の英雄と呼ばれる中将、モンキー・D・ガープもいたが、ガープはエースを助けることができなかった。

 その後、ルフィたちの故郷、フーシャ村に帰ってきたガープは、山賊の女棟梁カーリー・ダダンに「どの顔下げて帰って来やがったァ」と問答無用でこん棒で殴られてしまう。ダダンはガープに頼まれ、幼いルフィとエースの面倒を見ていた女性で、悪態をつきながらもルフィとエースを我が子のように想っていた人物である。

 目の前でエースを救えなかったガープも苦しんでいるという周囲の言葉に、ダダンは「違う……一番辛いのは………!! ルフィの奴さ!!!」と言って大粒の涙をこぼした。

 ルフィがどれだけエースを慕っていたかを知るダダン。彼がどれほど悲しみ、己の無力さに絶望しているかを想いながら涙を流すダダンの姿には切なさがあふれていた。


『ワンピース』には、あまりにも多くの泣きどころが存在するが、今回は「新世界」突入前の中から感動的な場面を選ばせていただいた。脇役の発する言葉にまでしっかり重みが感じられるのも、尾田栄一郎氏の作品ならではの魅力なのかもしれない。

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