■『進撃の巨人』より104期生ライナー・ブラウン

 彼ほど多くの読者から“不憫”と言われ続けたキャラはいないであろう。巨人と人類との戦いを描いた諌山創氏のダークファンタジー漫画『進撃の巨人』。そんな本作で、主人公エレンたちと命がけの戦いを繰り返していたのがライナー・ブラウンだが、彼は裏切り者であったのだ。

 ライナーの正体は、5年前にシガンシナ区の門を破った「鎧の巨人」。これによりウォール・マリアが陥落し、結果としてエレンの母親が巨人に喰われてしまう。味方として振る舞ってきた彼は、巨人駆逐のトリガーのような事件を引き起こした当事者だったのだ。

 彼以外にも「超大型巨人」のベルトルトや「女型の巨人」だったアニもいるが、前者はアルミンに食われ、後者は結晶の中で眠りについてしまう。結果として遺されたライナーのみが罪を背負い、それによって人格を分裂させてしまうほど苦しむことになった。マーレ帰還後のライナーは、「俺を殺してくれ」「もう消えたい」と嘆き、自らの口に銃口を突っ込み自殺を図るなど、精神的にとことん追い詰められた惨たらしいキャラでもあった。

 最終回ではクリスタへの変わらぬ執着で笑いを起こしたものの、これほど後悔を繰り返し続けたライナーは“裏切り者”の一言では済まされないキャラかもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3