■威風堂々とした強者ウボォーギンのあっけない最期
最後に紹介するのは、幻影旅団の最初の死者となったウボォーギン。逆立った長髪に筋肉質な巨漢。いかにも“強者”という風格のある野性的な男性である。
頑強な己の肉体を武器にする強化系能力者のウボォーギンは、拳銃やライフルの弾はもちろん、戦車を破壊できるバズーカ砲が直撃しても無傷なほどの強靭なボディを誇る。
しかし、旅団を代表するパワフルファイターでありながら、クラピカが幻影旅団と戦うためだけに用意した念能力「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」によって拘束されてしまった。
鎖によって念能力を封じられ、身動きも取れないウボォーギンから、クラピカは旅団に関する情報を聞き出そうとする。しかし、彼の口から出るのは「殺せ」という言葉のみ。
業を煮やしたクラピカは、ウボォーギンの心臓に「律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)」を打ちこむ。これはクラピカの定めた法を破ると、即座に対象者の心臓を握りつぶすという能力。
その上でクラピカが仲間に居場所を質問したが、ウボォーギンの答えは「くたばれバカが」。この言葉をきっかけにクラピカの鎖が発動し、ウボォーギンは口から血を吐いて死亡した。
いかにも強者といった佇まいだった幻影旅団の猛者ウボォーギンが、あまりにもあっけなく死んだことに驚きを感じたシーンである。また、忌まわしい復讐対象である旅団員を攻撃したクラピカのほうが「……実に不快だ」「手に残る感触耳障りな音、血の臭い全てが神経に障る」とつぶやいた場面も印象に残る。
また、その後にネオン=ノストラードの予言能力「天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)」によって、ウボォーギンの死を確信したクロロ団長が涙を流して悲しむシーンは、何度読んでも胸が張り裂けそうになる。
幻影旅団はゴンやクラピカたちと敵対する場面もあるが、団員たちは魅力的なキャラクターばかり。それだけに感情移入しやすく、まさかの最期を迎えたシーンでは思わずグッと来てしまう。このほかにも『ハンター×ハンター』にはネテロ会長やカイトを始め、衝撃的な最期が描かれたキャラクターがたくさんいるので、気になる方はぜひコミックスを読み返してほしい。