■壮絶な激闘の末にルフィが見せた紳士的行動
最後は主人公のルフィに関する、個人的に大好きな泣けるシーンから。ホールケーキアイランド編での「ルフィvsシャーロット・カタクリ」の名勝負を推したい。
壮絶な決闘中、ボロボロになりながら何度も立ち上がるルフィをあざ笑い、男同士の勝負にこっそりちょっかいをかけたカタクリの妹のフランペ。そのことに気づいたカタクリは、自分の腹を突き刺した上で、口元をさらけ出してフランペに激怒した。
実はカタクリは口元をつねに隠していたが、その理由は口が耳のあたりまで裂け、鋭い牙のような歯をしているため。幼い頃に「フクロウナギ」とバカにされた過去を持つ。
カタクリは「あのバカ(ルフィ)を笑いたきゃ…おれも一緒に笑え」と自ら口元をさらけだし、それを見た妹のフランペは「耳まで口が裂けて――まるでフクロウナギ!!」と取り巻き連中と一緒にバカにした。
そして正々堂々とした一騎打ちの末、ルフィが勝利。ルフィは地面に大の字に倒れたカタクリに近づくと、無言で彼の口元に帽子を置く。その行動に対する説明などは一切なかったが、戦いの中で彼のコンプレックスを知った、ルフィなりの敬意が感じられる紳士的なシーンだった。
今回紹介したシーン以外にも、さりげないコマながら胸がアツくなるシーンや、敵のまさかのセリフや行動に驚きつつウルっとくるシーンなど、まだまだたくさん存在する。『ワンピース』の泣きどころは有名なシーンだけではないので、いまさらではあるがコミックスを未読の方こそ、ぜひ一度触れてみてほしい。