■命の恩人に対するギンの涙の訴え
まだサンジが海上レストラン「バラティエ」の副料理長だった頃、餓死寸前の海賊のギンが訪れる。一文無しだったギンはすぐにレストランを追い出されるが、サンジが裏で食事を与えると、ギンは「面目ねェ」と泣きながらサンジの作った食事を美味しそうにかきこんだ。
実はこのギンは、50隻の海賊船を率いる「海賊艦隊」の提督“首領・クリーク”の右腕と呼ばれている人物。魔海と言われる“偉大なる航路(グランドライン)”に入ったが、わずか7日で艦隊は壊滅寸前となり、海賊団は飢えに苦しんでいた。
その後、ギンの紹介でバラティエにやってきた首領・クリークは、腹が満たされると手のひらを返し、海上レストランを我が物にしようとする。店には手を出さないという条件で首領・クリークを案内したギンは「話が違うぞ!!」と止めようとしたが、聞く耳を持たなかった。こうして“赫足のゼフ”率いるバラティエのコック軍団と、クリーク海賊団の戦闘が勃発。ギンはやむなく恩人であるサンジと戦うことになる。
クリーク海賊団の総隊長であるギンの強さは本物で、サンジを圧倒。トドメを刺す寸前までいきながら、ギンは「できません、首領・クリーク」「おれには…この人を殺せません」と涙を流しながら絶叫。さらにギンは「この船を…見逃すわけにはいかねェだろうか」と、恩人のいる船からの撤退を提案した。
命を救われた相手と、上司の命令の狭間に立たされる酷なシチュエーションだと思う反面、この涙ながらに訴えたギンの言動で彼の株は急上昇。その後のギンの命がけの行動も含め、もらい泣きしそうになったのは筆者だけではないだろう。