尾田栄一郎氏による人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』は、2022年8月で連載開始から25年の節目を迎える。物語はいよいよクライマックスに向かっているようで、最近ではSNSのトレンドに入るほどの伏線回収があったばかり。そのおかげで『ワンピース』が気になっている新規勢や、カムバック勢も多いのではないだろうか。
同作には、ドラマチックかつ感動的な名場面や名ゼリフがたくさん存在するが、個人的にはさりげない描写や、脇役の言動などにもけっこうグッときてしまう。そこで今回は、メインストーリーのネタバレを極力避けつつ、新規勢にもオススメしたい細かい感動シーンをご紹介したい。
■コワモテとのギャップがたまらない、ゾロのさりげない優しさ
まずは記念すべきコミックスの第1巻から。赤髪のシャンクスとルフィのドラマが名シーンとして名高い1巻だが、個人的には初登場したロロノア・ゾロのエピソードが印象深い。
海軍基地のある街にいたゾロは、野放しになっていた狼を斬り、幼い女の子を救う。だがその狼の飼い主が海軍大佐の息子だったためにゾロは海軍に捕縛。9日間ものあいだ飲まず食わずの状態で、磔(はりつけ)にされていた。
そんなとき手作りのおにぎりを持参し、磔場に侵入してきたのはゾロに助けられた女の子。だがゾロは「消えなチビ」「ハラなんかへっちゃいねェ!!」と悪態をつき、少女の好意を拒絶する。
そこに現れたのが海軍大佐の息子で、女の子のおにぎりを勝手に食べると、砂糖入りだったことに激怒。地面におにぎりを投げ捨てて靴で踏みつけ、女の子を塀の外に放り出した。
バカ息子が去ったあと磔場にルフィが現れると、ゾロは「それ…とってくれねェか」と踏まれて泥まみれになったおにぎりを要求。涙目になりながらそれを食べると、「うまかった、ごちそうさまでした」という少女への伝言をルフィに託した。
コワモテのゾロが初登場したエピソードだが、最初に女の子のおにぎりを拒絶したのは、海軍との騒動に少女を巻きこまないための配慮だったのは明白。そして泥だらけになったおにぎりを吐きそうになりながらも完食し、感謝を言伝てするあたりから、ゾロの不器用さと男気、優しさが伝わってくる。
この一件をきっかけにルフィの仲間となり、大活躍することになるロロノア・ゾロ。ファン目線でも彼のカッコよさを再確認するために何度も読み返したくなる、感動的なエピソードだ。