■地上最強の生物を激怒させた顛末
伝説の剣豪・宮本武蔵が、クローン技術と謎のオカルトチックな降霊術(?)によって現代によみがえるという『刃牙道』のストーリー。現代の格闘家たちは、武蔵の圧倒的な強さを目の当たりにして、さまざまな思いを抱きます。
範馬勇次郎は古流武術に精通している本部以蔵と会った際、宮本武蔵に逢いたいと発言。すると本部は、あろうことか“地上最強の生物”と言われている勇次郎に対し「悪いことは言わん」「止めておけ」と伝えたのです。
驚きのあまりに、硬直した表情の勇次郎の顔がたくさん並ぶコマ表現も実にシュールで面白いのですが、さらに本部は「アンタの手に負える相手じゃない」と断言。度重なる舐めた発言に怒りが抑えきれない勇次郎に対し、本部は「安心していいんだ」「君らの身は俺が守護る」と、完全に上から目線で言い放ちました。
念のために説明すると、本部以蔵はそれなりの実力者ではありますが、本作における最強キャラとは到底言えません。過去に勇次郎を闇討ちして完全敗北していますし、地下闘技場で行われた最大トーナメントでは、かませ犬と思われた相撲取りの金竜山にまで敗れています。
いつの間にか解説役に回ることが多かった本部が、作中最強キャラの筆頭・範馬勇次郎にこのセリフを吐いたという構図がめちゃくちゃ面白いのです。(その後、本部は読者の予想以上の活躍を見せますが……)
ちなみに「守護る」というセリフには、最初の頃は「守護(まも)る」のルビがついていましたが、いつしか「守護(しゅご)る」に変化。このキャッチーで使い勝手の良い「守護(しゅご)る」のフレーズは、刃牙を知らない人の間でもネタ的に用いられるようになりました。